陵辱と欲情の夜-6
離れたくない。
そう感じた直後。
奥の深いところを何度も突かれているうちに、ふたりの繋がっている部分を満たすようにじゅわりと温かな蜜液が溢れ出してきた。
それはひりひりとした痛みを訴える肉襞を優しく潤し、苦痛の代わりにせつなくなるような快感の波を呼び起こしていく。
「あ、こんな、あぁっ……!」
「いいよ、もっと声を出せばいい。どうせ誰にも聞こえないんだから」
史規が体重をかけてアイの上にのしかかり、速度を上げて腰を振り抜いていく。
びちゃっ、びちゃっ、と愛液が飛び散って床に散る。
これまでよりもずっと深い位置を打ち抜かれ、その衝撃がアイの中にますます凄まじい愉悦を沸き立たせていく。
どうして、こんなに。
熱い、息できない。
ああ、もういい。
いいの、気持ちいい。
あそこ、じんじんしてる。
溶ける、わたし、とろとろに溶けちゃう。
んっ、んっ、と媚びるように喉が鳴った。
快楽に溺れかけた瞬間、ばちん、という破裂音が聞こえた。
続けて太ももにひりひりとした痛みを感じたが、突然のことにアイは反応できずにいた。
耳元で史規が低く囁く。
「本当に悪い子だ、初めてのくせにもうイキそうになるなんて」
「えっ……あ、あ」
アイが次の言葉を探すよりも早く、次の一撃が同じ場所に打ち下ろされた。
いやあ、と悲鳴をあげたが史規の手は止まらない。
ばちん、ばちん、と白い太ももの表面に大きな手のひらが振り下ろされ、いやらしい女だ、恥を知れ、と罵られた。
違う、と言いたいのに、史規の言葉のほうが正しいのかもしれないとも思う。
わたしが、悪いの。
悪い、いやらしい子だから。
その証拠に、ほら。
あそこ、ぐちゅぐちゅって、きこえる。
こんなに叩かれてるのに、痛いのに。
叩かれる前よりも、ずっと感じてる。
淫肉の奥深いところから、すべてを溶かし尽くすマグマのように煮え滾る快楽がアイを丸飲みにしようと迫ってくる。
拒めない、逆らえない。
怖いのに、もっとほしい。
自分でも自分の本心がわからなくなっていく。
「おじさま、あっ、あ……痛い、痛いの……き、気持ちいっ……!」
「叩かれながら感じるなんて、アイちゃんはドMの変態女だったんだね。これからは隠さなくていいんだよ、僕がじっくりと虐めてあげるから」
「い、いやぁ……!」
わたし、そんな女じゃない。
変態なんかじゃない。
そう叫ぶ前に、無防備だった乳首の先を思いきり強く噛まれた。
びりびりと電気を流し込まれたような感覚が、一瞬のうちに全身を駆けめぐっていく。
アイの唇から漏れ出たのは、意味のないうわごとのような音だけだった。
剛健な肉塊はアイの中でどくどくと脈打ちながら怒張し、猛然と突き進んでくる。
はあ、はあ、と史規が息を弾ませている。
アイの呼吸音がそれに重なり、互いの体温が部屋の温度をさらに上昇させていく。
ふたりの感覚が共鳴し、溶け合ってひとつになっていくかのような錯覚を覚えた。
おじさまをもっと感じたい。
わたしをもっと感じてほしい。
わたしの全部、おじさまにあげるから。
おじさまがしたいこと、全部させてあげるから。
心の中の言葉は史規に届かない。
もどかしさが燃え盛る快感をさらに増幅させ、アイを絶頂の淵へと追いやっていく。
「お、おじさま、もう……あぁっ……!!」
「あぁ、僕もイキそうだよ……もう離さない、君は、僕だけの……」
快楽が絶頂点にまで高まった刹那、びくっ、びくっ、と全身が激しく痙攣した。
膣から男根が引き抜かれ、大量の精液が腹の上にぶちまけられていく。
筋肉にはりつめていた緊張の糸が解け、ふうっ、と意識が薄れていく。
すぐそこにいるはずなのに、史規の声が遠くで聞こえる。
今日のことは誰にも内緒だよ、わかったね。
明日からは、真夜中になってからここにおいで。
そうしたら、もっと君が悦ぶことをしてあげるからね。
いつもと変わらない、優しい史規の声。
ええ、いいわ。
おじさまが望むなら。
だって、わたしはもうおじさまのものだから……。
アイは心の中で微笑みながら、史規の声に応えた。
その日を境に、変質的な調教の日々が始まることも知らずに。
(つづく)