陵辱と欲情の夜-5
嬉しいよ、アイちゃん。
耳の奥で史規の夢見るような声が繰り返し響いている。
頭の中で、何度も犯した……。
どういうこと?
わたしたちはそんな関係じゃなかったのに。
おじさまだけは、他の男の人が持つような性欲とは無縁だと思っていた。
わたし、なにもわかってなかった。
これまで一緒に遊んできた10年以上の思い出が、めちゃくちゃに汚されていくようで苦しくなる。
指はすでに根元まで埋め込まれ、狭い膣内を押し広げようとするようにグニグニと肉襞の狭間で蠢いていた。
痛くないけど、体内に芋虫のようなものをねじ込まれているようで気持ちが悪い。
すごく変な感じ。
こんなことされたくない。
こんなの、わたしの好きなおじさまじゃない。
アイは力の入らない両手で史規の胸を何度も叩き、どうにかして抵抗しようとした。
「い、いや、もう、嫌っ」
「そろそろいいかな? 女の人って最初は痛いらしいけど、お仕置きにはちょうどいい」
そう思うだろう? アイちゃん。
穏やかな口調が逆に恐怖を誘う。
アイの声などまるで耳に入っていない様子だった。
史規のことは大好きだったが、彼と性的な関係を結ぶなど考えたこともない。
アイの中で好きな気持ちとセックスとは、まだ何の関連性もないものだった。
女の子同士でもその手の話題は避けるほうで、なんとなく下品で汚いようなイメージが強くて苦手だった。
だから、こういうときにどうしたらいいのかわからない。
自分がどうなってしまうのかもわからない。
「お、おじさま……許して、許してよぉ……」
「ああ、いい顔だね、ぞくぞくするよ。もっと虐めて泣かせてやりたくなる」
アイの中から指を抜き、史規はせわしない動作でベルトを外して自身のズボンを下着ごと押し下げた。
史規の股間には、反り返った肉幹が屹立している。
太くどっしりとした男根。
アイの目は初めて見た男性の部分に吸い寄せられ、その力強さに圧倒された。
赤みを帯びた肉色のそれは表面に赤や青の血管を浮きあがらせ、真上を向いてそそり立っている。
茸の傘のような形状の先端部分には小さな割れ目があり、そこから透明の液体が染み出してきていた。
史規は肉棒に手を添え、その丸みのある先端をアイの小さな膣口に擦り付けてくる。
互いの体液が混じり合い、ぬちゅっ、ぬちゅっ、と粘りけの強い音が静かな室内に響く。
アイはこれから起きることに怯え、すすり泣くような声をあげた。
「お、おじさま……こ、こんなのだめだよ、だって……もうすぐ結婚、するんでしょ?」
「結婚なんかどうだっていい、それに黙っていれば誰にもわからないよ。君だって知られたくないだろう? 自分から服を脱いで僕に迫ってきたことなんてさ」
「だから、わたしはそんなつもり……い、いやっ、いやあっ!」
両手で腰を引き寄せられ、秘部の中心に肉根の突端を突き立てられた。
熱い肉塊が膣肉を抉り、アイの奥深くまで貫こうとしてくる。
剛直は狭すぎる肉路にぎちぎちと嵌まり込み、無理矢理に粘膜を押し広げ変形させていく。
体内に感じる史規のそこは、鋼のように頑丈で焼けた鉄のように熱い。
全身を引き裂かれるような激痛が走り、息をすることさえ忘れてしまいそうだった。
自分とは完全に異質の肉体。
目が眩む。
意識が途切れそうになる。
でも気を失いかけると、すかさず次の痛みが現れて失神することさえ許してもらえない。
「くっ……うぅっ……」
「いいか、悪いのは僕じゃない。君がどうしようもなくワガママで、いやらしい体をしているのが悪いんだ」
昔からずっとそうだ。
その可愛らしい声で、小さな手で、赤い唇で。
僕が手を出せないのをわかているくせに、誘うから。
だから、想像するしかなかった。
君は知らないだろう?
このアトリエには隠し部屋があるんだ。
そこに、何枚も隠してある。
口に出せないような格好をしたアイちゃんの絵。
我ながら上出来だと思うよ。
誰にも見せられないけどね。
あの絵を思い出しながら、いつも。
晴菜と寝るときも、自分でするときも……。
史規の声には、陶酔しているような響きがあった。
言葉の内容がうまく頭に入ってこない。
「うぅ、くぅっ……」
苦しげに呻き声をあげるアイを弄ぶかのように、少し奥へ進んでは腰を引き、またその奥へと進んでくる。
ずん、ずん、と弾みをつけて貫かれるたびに、腰が大きく跳ねてしまう。
それに合わせるように小さな胸がふるふると揺れてしまうのも、頭がおかしくなりそうなほど恥ずかしかった。
こんなの、悪い夢に決まってる。
明日になれば、きっといつもの優しいおじさまに戻ってる。
だから、こんなのは嘘……。
夢だ、嘘だと思い込もうとするアイを嘲笑うように、肉体の感覚はますます研ぎ澄まされていく。
押し潰されてしまいそうな重量感。
お互いの一部がぴったりと隙間なく重なっていく。
これが男の人の体。
すごい。
わたしの中に、おじさまがいる。
おなかのずっと奥のほうに、おじさまの熱を感じる。
嫌だと思う気持ちは変わらないのに、心のどこかでこの状況を楽しんでいる自分がいた。
なんだか、すごく。
満たされている。
欲しかったものをやっと見つけたような感覚。
わたしだけの、大事なひと。