金縛り-6
そんな濃厚な上半身の愛撫を受けているうちに、泉はハッキリと脚の間が熱く潤んでいるのを実感した。
1年前に恋人と別れて以来、ほとんど男っ気のなかった泉にとってこの刺激は、まるで砂漠のオアシスのようなものであった。
こんな得体のしれない「何か」に感じてしまうことが屈辱であるとはわかっている。
だが、この焦らすような責め方が、泉の身体に刻まれた記憶を呼び起こした。
1年前、一方的に別れを告げた自分勝手な男。
別れ際こそ「好きな女が出来た」と、にべもなく泉を捨てた最低な男であったが、セックスの相性だけは抜群で、身体の芯からシビれるような熱い濃厚なテクニックに泉はいつも乱れさせられていたのである。
くすぐったがりの泉の弱点を責めるのが、その男の常だった。
首筋。脇の下。脇腹。膝や太ももの裏など。そして一番の泣き所であったのがーーー。
(やあああっ!!)
ぼんやりそんなことを考えていると、散々上半身を責めていた舌が、突如足の指の間にぬるん、と割り込んで来たのだ。
「何か」は足の指を軽く開かせると、舌をその間に埋め、激しく動かしたのである。
(あっ、や、やぁっ、あ……っ、ダ…メ……ッ)
「何か」の舌は全ての足の指の間を丁寧に嬲ったり足の指を口に含んだり、優しく足の甲にキスをしたりを繰り返していた。