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sleep paralysis
【ホラー 官能小説】

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金縛り-15

それは、入院してからの翔の日記だった。


書き始めたのは、去年の夏。ちょうど泉が翔に捨てられた辺りから始まっていた。


日記というにはあまりに素っ気ないもので、病院食のメニュー、検査の内容、体温や便通などを綴ったものであった。


だが、いつも締めくくりには泉への一言が書かれてあった。


「泉は自分を恨んでいるだろう」とか後悔の気持ちを綴った日もあれば、病院食のメニューについて「これは泉が好きそうな味だ」とか他愛もないことを綴った日もある。


翔はいつも泉のことを日記に書いていた。


お母さんはそんな翔の気持ちを汲んでいたから、こうして今朝、電話を寄越したのであった。


どれだけ翔が泉を傷つけて無理矢理別れたのか。


もしかしたら泉は新しい恋に出会って、幸せにしているかもしれないのに、この電話をしたらどれだけ嫌な思いをさせてしまうか。


本当は翔は泉が真実を知ってしまうのを嫌がっていたかもしれない。


だけど、本当は自分が治らない病に侵されていたから、仕方なく別れたことを泉に知ってほしかったかもしれない。


この日記に必ず泉の名前が書いてあったという事実をどう受け止めるか。


結果、お母さんは泉に電話を掛けたのだった。




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