recall〜first love-1
好きだったけど。それはもう6年も前のこと。
それにアイツだって私のこと忘れてるに違いない。
一年たつ度にアイツの記憶は、どんどん薄れていって、今のところ声まではなんとか覚えている。
recall
first love
「へぇ、七海の初恋って小六の時なんだ」
久しぶりの綾香とのお泊まり会で私は人生で初めて初恋の話をした。
どうして彼女に話すことになったのか?よくわからなかった。
「あぁ、話ちゃった。私の人生で最大の秘密」
「あはは、どういう意味、それ」
電気が消えた綾香の部屋ではオシャレなオレンジと赤のストライブの間接照明が暖かい光でお互いの顔を照らしていた。
「だってさぁ……」
天井を見上げ、私は昔、過去を思い出す。
「ソイツね。私のこと何て呼んでたと思う?」
「あだ名ってこと? んー何?」
ゴリラと笑いもせずに言うと綾香はクスクス笑った。
「ひどいと思わない?」
今度は大きめのシングルベットの隣にいる綾香の方を向いて言った。
「ゴリラかぁ。確かにひどいけど……でも、何でゴリラ?」
「知らないよ。確かにその時は、ちょっとぽっちゃりしてたよ! でも、乙女に向かってゴリラはないと思わない!」
確かに。と綾香は、また笑った。
そして、笑い終えると
「でも、ソイツのこと好きだったんだ?」
その言葉がやけに胸をきつく締め付ける
「まっ、まぁね」
って……なんで、そこで噛むんだ!私。
「あはは。七海可愛い! 照れてる、照れてる」
はい、照れてます。
だって、こんな過去のことを話すこと自体、初なんだもん。