recall〜first love-2
「そういえば、クラスにもいたよ。一人はそういうカップル。いつもケンカばっかりだけど、本当はお互いが好きみたいな?」
また胸はきつくなる。一人で思い出すと、いつもこうだ。
「で、でも。……気付いたのはソイツと会わなくなった時だったよ」
「…………」
会わなくなった時って? 綾香は急に真剣な顔になるから、つい全部を話たくなる。
「簡単なことだよ。違う学校になって会わなくなったの」
当時、中学受験全盛時代? 私は私立の女子校に進学することになった。
同級生によくからかわれた「ナナちゃんとゆーくんはラブラブなんだよ」
はぁ?ありえない。
あんなヤツ好きなんかじゃない!
アイツもアイツ。
違うなら、違うって言わないから。
人知れず受験勉強をした。
4月からは私が私立の学校に行くと知られるようになっても。
「ゴリラ」
いつもそう呼ばれてたわけじゃないけど、何も変わらなかった。
私も誰がゴリラよ!みたいに、いつも通りに怒ってたし。
「最後にソイツを見た瞬間。今でも覚えてるよ」
気が付くと涙が止まらなくなっていた。
綾香はそんな私の手をギュッと握ってくれた。
「謝恩会の帰りの送迎バスで先に友達たちと帰ったんだけど。どんどん小さくなっていくソイツを見ている勇気は、なくてね。一回だけ! 振り返って見たの……それが最後だったよ」
ポロポロ、頬に違和感を感じる。