女らしく【01】『実習と幽霊とリストラ』-2
「マコトか…もう少し寝かせて……くぅ………」
まったく…コイツは実力ならこの学園一なのに、いつも寝てばかりで…
でも、良い所も沢山あって、例えば……
ちゃんと周りのことも気遣うとか…
結構、優しいとか!
本気になると格好いいとか♪
後、それから…それから……
……こほんっ…
正直に言おう…
オレの初恋相手はコイツ。
しかも、その初恋はいまだ継続中…
…どうして、十年以上の付き合いなのに気付いてくれないんだ?
この…鈍感………
でも…寝顔は…かわいいんだよな……
「おーい、大和。本当に寝てるのか?」
大和は答える代わりに、すぅ…すぅ…と寝息をたてている。
何か…ドキドキする……
「本当に……寝てる?」
大和の顔を覗き込む。
ほんの少しだけあどけなさが残っているが、精悍な顔つき。
間違いなく美形の部類に含まれるだろう。
安らかな寝顔…
時折ムニャムニャと動く唇……
何か…変な気分……
「…お、お前がいけないんだからな……」
自分でもよく分からないことを言いながら、少しずつ顔が近付く……
40cm…
大和は安らかな寝息をたてている。
30cm…
自分の心臓がバクバクと脈打つ。
20cm…
自分の口が少し開く…
10cm…
「大和……」
パチッ!
大和がいきなり目を開け、視線が合わさる。
「………」
「………何やってんだ、マコト?」
「うわあっ!」
慌てて後ろに飛び退く。