あなたは皆と‥‥。(4)-3
あなたは、諦念にとらわれた。しかし、末妹の言葉とあなたの態度は、長姉には別の解釈をもたらしたようであった。
「だったら、ふふ‥‥」
蒲生白香は、小さくそうつぶやいたのだった。
(え‥‥)
あなたは、心中でつぶやいていた。
いや、もしかしたら、小さく声を出してしまっていたかもしれない。
「楽しくさせてあげなきゃ♡ ね、桃香」
「うんっ」
言うが早いか、姉妹は、あれよあれよという間に服を脱ぎはじめた。
「海田くんには、ずいぶんお世話になったからね‥‥。これは、心ばかりのお礼よ」
「お兄ちゃん、お礼だよー♡」
ふたりとも――おそらくおそろいなのだろう――可愛いピンクのブラだった。無地ではなく、何か文字がポップな字体で記されてあった。だがそれを確認する間もなく、ふたりは息を合わせているかのように、同時に、弾むようにそれを外したのだった。いわゆる、阿吽の呼吸、だった。そしてまた、ためらいとか、恥じらいとか、そういったものは、微塵もなかった。
ぷるん。
ぷるるん!
「受け取って。ね、海田くん♡」
「受け取って受け取ってー」
二人が寄って来る。当然、揺れるモノが揺れる。
「‥‥‥‥」
退屈な日常、どころではなくなっていた。白香はにやにや笑いながら、ずい、ずい、と。桃香は邪気なくにこにこ笑いながらだったが、その幼い笑みの理由は、まるで宇宙人のそれのようにあなたには理解不能だった――そろ、そろ、と音を立てずに近づいてきた。
あなたは、自分が平穏な日々から再び遠ざかりつつあることを、悟ったのだった。