紅香語り(6)-1
そしてまた日が経ち、また、土曜日が来ました‥‥。
桃香は、
梅雨のほうは、そろそろ明けそうでした。が――。
桃香によって、恐ろしいことが行なわれました。お姉ちゃんを、これまでで最大の悲劇が襲ったのです。
わたしがお買い物から帰ると、お姉ちゃんはすでに、同じ側の手足を束ねて股を全開に広げられた格好で、頭を下に、後頭部から首の後ろを接地するような姿勢で固定、というあまりに恥辱的な格好、い、いわゆる――ま、まんぐり返しの状態にされていました。クッションの上で、艶やかな姿態が、わたしたち姉妹の脂を吸ってテラテラと黒光りしている麻縄で固定――緊縛されていました。太腿からお尻のライン、そして何よりもたわわな乳房がこれでもかと強調され、妖艶かつ淫靡きわまりない、
(に、に、に、肉便器――‥‥)
となった姿でした。そこに、桃香が、物置部屋からあれを持ってきたのでした。わたしもお姉ちゃんも、見ないようにしている物置部屋の隅の、あの広口瓶を‥‥。
「ジャーン!」
桃香は、紫色の布を取り払い、得意気にそれを掲げました。その様子で、わたしは幼い妹が何をする気なのか悟りました。お姉ちゃんもわかったようです。顔が、さーっと蒼ざめてゆきました。瓶の底で、蠢いている桃香の小さなペット。あのコはそれを、お姉ちゃんの柔肌に這わせる気なのです。あのおぞましい黒い虫――ゴキブリを。
「やっやっ、やっ。いやあぁーっ!」
白香お姉ちゃんは頭を左右に振って、泣いていやがりました。が、桃香は容赦することなく、瓶を手に緊縛されたお姉ちゃんに近寄りました。
「お姉ちゃーん、あんまり動かないでよ。このコが落ちちゃうから」
「もっ、桃香っ。やめてっ。他に何してもいいから、それだけはやめてっ!」
お姉ちゃんは、すでに涙でべちょべちょの顔で哀願しました。たしかにお姉ちゃんは、凄い勢いでいやがっており、緊縛されたその女体が、おっぱいや股のいやらしい肉が、ぶるぶるぶるぶる、と激しい蠢動を見せていました。動けないように縛ってあるのですが、それでも、です。これでは、ゴキブリを乗せても、すぐ落ちてしまうでしょう。
「ばかっ。ばかばかっ。桃香っ、馬鹿あぁっ!」
「もお‥‥。動くのやめないと――あと、しゃべるのやめないと、このコをそのお口に放り込んじゃうよ♡」
桃香は、実際に口に入れこそしませんでしたが、一度自分の部屋に引っ込んだかと思うと、黒いギャグを持ってきて、白香お姉ちゃんの口にかませました。
「う、うう‥‥」
そして、瓶を手にじわりじわりと近づいていったかと思うと、お姉ちゃんの、ふくよかさ溢れる――逆谷間とでもいうのでしょうか、豊かすぎる二山が逆さになって形作っている肉の渓谷に、ポイッと瓶中のゴキブリを放ったのでした。
「ンン! ンああああーっ」
お姉ちゃんは泣いていやがります。動かせないカラダを動かして、淫靡に悶えました。黒い羽虫は、まるで飲み込まれるように、谷の底に潜り込んでゆきました‥‥。
「うぃぐっ! いぐううう‥‥」
「なーによ、大げさにいやがっちゃって♡ 洗濯バサミとかコンパスに較べれば、痛くもかゆくもないじゃない、こんなの」
そんなふうに嘯いていた桃香は、しばらくして、割箸でゴキブリを回収し、広口瓶に戻しました。が、お姉ちゃんを解放しはしませんでした。そして、また自室に消え‥‥戻ってきたときには、漏斗を手にしていたのでした。
「もっ、
桃香は、お姉ちゃんに多くを言わせず、そのぱっくりと広がった、本来は下にある股の間の淫らな
「ふふふ、おとなしくしててね♡ これも痛くはないと思うから。――もしかしたら、気持ちいいかもしれないよ? なかで可愛がってね、白香お姉ちゃん♡」
と言ったかと思うと、お姉ちゃんのあそこに直結されている漏斗に、これも割箸でポイッと、ゴキブリを放ったのでした。黒虫は心得たように、すぐに細い口の奥へ消えてゆきました‥‥。
「○△×♡! ▼△&%$#□●▲――!」
わたしたち蒲生三姉妹の住む家に、白香お姉ちゃんの出せない悲鳴が、くぐもりながらも響き渡りました‥‥。