『THE ENDLESS』外伝〜光羽編序章-2
「取り敢えず声を掛けてみるぞ」
「そうだな」
近付き声を掛ける。
「すみません。俺達とギルドを興しませんか?」
「あ、丁度俺達もそのつもりだったんスよ」
「それなら話は早い。早速手続きをしよう」
俺達は新規のギルド作成の手続きをしようと受付(勿論無人だ)へ向かうと、自動的に用紙と筆記用具が出てきた。この辺精神的に微妙だ。
「あー、マスターは誰にする?」
「光羽で良いんじゃないか?」
「俺も…あんまり人の上に立つのって好きじゃないスから」
「私も」
そうか、多数決の脅威って奴だな。俺は自分の名前を書くしかない。
「仕方がないな…じゃ、ギルド名は?」
「自己紹介を兼ねてイニシャルから取りましょうよ。俺は鋭い刃って書いてエイジンです」
「私はシエルです」
結局、ギルド名はひねって『Somisiae(ソミシエ)』になった。俺はアルファベットは嫌だったが、またもや多数決で負けた。
ともあれ、これでゲームを始められる。それもマスターとして。俺は妙にくすぐったい期待を覚えた。
「で、この後どうすれば?」
俺がそう言った直後、空中に光が現れ、それが四つの銀の鍵になった。
さらに紙が光り、ギルドの位置を指す地図が浮かんだ。皆が覗き込む。
「私達の活動の中心となる場所だな」
「何だかわくわくして来ましたね」
「さっさと行って位置を把握しよう」
…俺達はギルドに入った。
「まずはそれぞれの部屋の使い方の把握・決定をする」
「おっ早速仕切りだしたな」
「決まった事だし従ってくれ」
「それは重々承知している」
とにかく部屋の確認は始まった。部屋は全部で四つ。既にそれぞれに名前があった。武器保存室―会議室―連絡室―5号室。
「5号室って何?」
「さあ…何か臭うが…こっちはアイテム保存用として使うか。それより連絡室の使い方が分からん」
連絡室の中央にはテーブルがあるのみで、〈連絡室〉としての使い方が分からない。しばらく俺達は連絡室の中をうろついた。
「やっぱり、このテーブルが怪しいな」
俺はテーブルに触れてみた。すると空中に画面が浮かび、音声が流れた。
『依頼伝達は明日七時からのスタートとなります。今しばらくお待ち下さい』
「……今日はもう解散する。明日同じ時間に集合な」
「鋭刃どうする?」
「俺はもうちょっと周り見てみたいな…それじゃ、失礼します」
鋭刃とシエルは外へ駆け出して行った。
「私達はどうするんだ?」
「俺はレベル上げをするつもりだ。マスターだしな」
「光らしいな。っと、光羽だったか。私も付き合おう」
「ついでに的確にハンドルネームで呼びあう練習もするか?」
「ハハッそれもそうだな」
まずは順調な滑り出しだ。まだ開発されたばかりのこのゲーム。俺達が活躍する余地は十分にある。