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ブロンドの美少女カロリーネ
【その他 官能小説】

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破綻-1

17.破綻

「とにかく、結婚となったら2人だけの問題じゃないし、まして子供が生まれるとなったら、そのことも日本の両親に話しておかなければならないし」と、ぼそぼそと言う博康にカロリーネが言う。
「あなたはもう25歳になったのに、まだ自分の人生を自分自身で決められないの?私たち2人の将来と、私たちの間にできてしまった私たちの子供のことなのに、なんであなたの両親の承認が必要なのよ?」
「でも、日本には日本のしきたりがあるし、日本人である以上僕もそれに従わなければならないんだよ」
「もう十分よ!それ以上言う必要はないわ!
私との今までの生活は、単なる遊びだったことが、今はっきりとわかったわ。
もうたくさん!
私、実家に帰ります。そしてあなたの子供を産みます。
母親の家になんか帰りたくはないけれど、他に選択肢はないわ。あなたみたいに自分勝手な人と一緒にいるのはもうこりごりよ」と言いながら、カロリーネは自分の身の回りの品をリュックに詰め始める。

博康は、そんな彼女を止めることも、説き伏せることもできず、ただ茫然と立ち続けた。
やがて荷物を詰め終えたカロリーネは、それから15分後一人寂しくアパートを出て夜道に消えて行った。

そんな彼女の後姿を窓から見ながら、博康は無性に独りになる寂しさを感じていた。
今までは、どんなことがあってもカロリーネと一緒に、これからもずっと暮らしていたいと望んでいたのに。
いざ妊娠、結婚という言葉を言い出されて、思わず身を引いてしまった自分の卑怯さを悔やみ続けた。
 1時間もすれば母親の家に着くはずである。博康は焦りながらも慌ててカロリーネにメールを書いた。

「悪かったよカロリーネ。僕が悪かった。これからは、生まれてくる子供のためにも、もっと父親としての自覚を強く持ってやっていくよ。だから戻ってきておくれ。
日本の両親には今から長いメールを書いて、自分の無責任さを伝え、君と付き合っていること、そして子供ができたことを伝えるよ」
 
こんなメールを出した博康であったが、カロリーネからの返信メールはなかった。
日本の両親宛てにもメールを出したが、8時間の時差があり、今は夜中の3時を過ぎたばかりの日本からは返事がなかった。
博康はどうしようもない孤独感に襲われた。

翌日になってもカロリーネからのメールは無かった。
博康はほぼ同じ文面で謝り続けるばかりであったが、何の返事も無かった。
日本の両親からは翌日になって返信メールが届いたが、博康の心配をよそに、
「もうおまえも立派な大人なんだから、自分のこれからの人生については自分で決めろ。私たちは遠く離れてはいてもお前のことをいつまでも信じているよ」との簡潔な文章だった。

カロリーネからはメールの返事も電話もなかったが、それから約1週間経って、やっとメールが届いた。
「昨日急に多量の出血があったので、慌てて近くのクリニックへ行って検査を受けたところ、流産したとのことでした。あなたも気が楽になったわね。これからは一人で頑張ってください」
慌てて携帯に電話する博康だったが、電話に出たカロリーネが冷たく言った。
「あなたがどんな無責任な人間か十分わかったわ。もうあなたの元には戻りません。あなたもお幸せに。」

その後も博康は何度か彼女に弁解したが、彼女の気持ちを元通りに戻すことはできなかった。
彼にとっては、北欧で初めて体験した、辛い恋の思い出となってしまったのだった。

やがてカロリーネに新しい恋人ができたとのうわさを、ある日博康は彼女の友人から聞いた。博康は、その後勉強とアルバイトに集中する単純な毎日を、一人寂しく過ごした。
やがて年が明け再び初夏が訪れ、博康は大学院を卒業したが、最愛の恋人カロリーネを失った心の傷からは、二度と立ち直ることができなかった。




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