桃香語り(7)-2
さて、また――。
いい考えというものは、出るときには連続するものです。
マンガ家になる夢について、です。描きたいマンガのテーマが、見つかったのです。
(エッチなのを、描こうっと♡)
――白香お姉ちゃんがわたしや紅香お姉ちゃんにした、身体測定や羞恥下着姿での過ごさせも含めた数々の調教を、自分流に描こうと思うのです。
そしてさらに、とっておきのアイデアも閃いたのです。白香お姉ちゃんもまだやってない、きっと考えつかないスゴイのが。
物置部屋のあのコ、です。
あのコを、女体のやわ肌に這わせて、さらに――――‥‥。
(まず、テストが必要だよね。どういう反応を示すか観察するテストが――。うくく‥‥)
傑作が描けるような気がして、わたしはひとり、にんまりと笑ったのでした。
白香お姉ちゃんを家から長時間離すために、紅香お姉ちゃんとふたりで海へゆくことを勧めました。紅香お姉ちゃんを通したのが、よかったようです。「功をそうした」というやつですね。怪しまれることなく、目的を達成できました。
そしてわたしは連絡を入れ、片桐さんと幸也を呼び、準備を始めたのでした。いっぱいある道具を家の前まで運ぶのは、幸也のボディガードさんたちにも手伝ってもらいましたが、家のなかに取り付けるのは、三人で頑張りました。その作業に励みながらも、わたしは胸のうちで唱えていました。
(見てなよ、白香お姉ちゃん‥‥)
そりゃあ、わたしは怠け者です。頭のいいお姉ちゃんたちが、特に白香お姉ちゃんが、そう言うのです。だから、悔しいけど、きっとそうなのでしょう。
でも、そんなお馬鹿な妹だって、やるときはやるのです。
(もうすぐ、剥いてあげるからね――)
その白香お姉ちゃんですが、紅香お姉ちゃんと別れ、ひとりで帰ってくる手はずになっています。
「白香クン‥‥。実は桃香クンのことで、折り入って相談があるんだ‥‥」
片桐さんがさっき、そう電話したのです。
「白香クンと僕、それに桃香クンの三人だけで話がしたいんだよ‥‥」
と、声を湿らせて‥‥。
これは片桐さんの発案です。さすが、大人です。世間とはズレぎみなオタクっぽくても、こういうことには頭が回るものです。わたしは感心しながら、電話でわたしが“桃香くん”という言い方をされていることに、なぜだか妙なくすぐったさを覚えていました。紅香お姉ちゃんは『スカーレッド』に寄って、後で片桐さんが迎えに行く、ということになりました。
どう乳装置ですが、家中のコンセントにケーブルをつなげて、電源を取りました。
「テストも無しの一発勝負だからね、桃香くん」
片桐さんは、神妙な面持ちで、わたしにそう宣言しました。これはもう、緊張感が、高まります。否が応でも、ドキドキするというものです。
(ううぅ〜‥‥)
白香お姉ちゃんへの電話までは平気だったわたしですが、だんだんお口のなかが酸っぱくなってきました。きっと顔も、神妙な表情になっていることでしょう。