【花よりも花の如く】-5
あの時以来、廊下でばったり出くわしただけで触ってくるようになって、すれ違う瞬間に抱き竦められたり、階段を上ってたら後ろからスカートの中に手を入れてこられたりして、洗面所で顔を洗ってたら背後から胸を揉まれたり、覆い被さるようにしてアソコに手を伸ばしてきて、止めてって言っても聞いてくれなくて、あたしがイくまでヤってやるよとか言って……。
そんなこと頼んでもないのに、してほしくもないのに。
倒れ込みそうになっても、腰が抜けそうになっても、何度もイかされて。
もう駄目なのに、もうフラフラで苦しいのに、「良いね、その顔」とか言って、「もっと見せてみろよ」とか言って、更に執拗に、ベットの中まで入ってきて、何度も何度も……。
あたし、お兄ちゃんの妹なのに。お兄ちゃんはお兄ちゃんなのに。
嫌いよ。絶対、大っ嫌い。もう、絶対に！……大っ嫌いになった筈なのに。
拒み切れなくて。
お兄ちゃんに、いつも、あんなことをされて、あんな……。
あ……。
そんなことを考えていたら、体の奥から暖かいものが溢れるのを感じた。
やだ、あたし。
もう一度トイレットペーパーを引き出して、くしゅくしゅと丸めて、ソコにあてがってみる。
やっぱり、ぬとぬととした粘液がたっぷりと溢れている。
こんなに濡れて、あたしやっぱりいやらしいのかしら？お兄ちゃんが言うように淫乱なのかしら？
それとも、単に今日は体が疼いているだけなのかしら。朝から、お兄ちゃんにたっぷりと弄られたから。
弄られるだけ弄られて、イかされてないから。
お兄ちゃんの意地悪。
……。
あたし、お兄ちゃんなのに、あたしのお兄ちゃんなのに、して欲しいのかしら？
それでいいのかしら、あたし。もう、兄妹だろうがなんだろうが、そんなことはどうでもいいのかしら。
イかせてくれたら、もうお兄ちゃんでもいいのかしら。
……。
あたしって、こんなにいやらしかったっけ？
「はぁ」
思わず大きく溜息を吐いてしまう。
あたし、そんなに、したい子じゃなかったと思うのになぁ。確かに興味がなかったと言ったら嘘になるけど、そんなのずっと先の話だと思っていたのに。もっと大人になってから、好きな人と成るべくして成るモノなんだろうと思っていたのに。
……例えば、先輩とかと？
やだ、あたしっ！
いきなりバレンタインディにチョコを渡した憧れの先輩の顔が頭を過ぎったので、慌てて打ち消す。
何考えてるのよ、あたし。ううっ、顔が火照ってしまう。
そんな可能性……、確かにホワイトディにお返しを貰ったのは事実だけど、でも、そんなこと……。
無いわ、無いわよ、きっと。絶対。
でも、だからって、まさかお兄ちゃんとだなんて、思ってもみなかった。
ううん、そんなの当たり前よね。そんな選択肢、考えつかなくて当然よね。だって、相手はお兄ちゃんなんだもん。
自分のお兄ちゃんにあんなことされるなんて、普通思わないわよね。
あんなシュチエーションは、普通、起こり得る筈がないのよ。あんな、あんなことは……。
あっ……。
お兄ちゃんの手の感触が蘇る。あたしのココを撫でるお兄ちゃんの大きな手。
あたしの秘部を覆い隠す、ぷっくりとした割れ目を指で左右に開き、剥き出しになった小さな突起を撫でるようにそっと触れるお兄ちゃんの暖かい指先……あっ、駄目。こんな所でそんなこと考えちゃ駄目。
駄目だと思うのに、あたしの奥底で、何かがざわめく。
そっと、お兄ちゃんがしたように、あたしのソコに触れてみる。
「……っ！」
じくじくと疼くように硬くしこったソコに指先が触れた瞬間、体が震えるほどの衝撃が背筋を駆け上った。
ああっ、お兄ちゃん……。
『いやらしいな、愛花は』
思わず熱い吐息を漏らしてしまったあたしの耳側で、にやにやとした笑いを含んだお兄ちゃんの声が聞こえた気がした。
ハッと我に返ってしまう。
駄目、こんな所でそんなことしちゃ駄目よ。
大きく深呼吸をして呼吸を整えると、また少し濡れてしまったソコを、もう一度きちんとトイレットペーパーで拭う。
水音と共に便器の中へ流れていくそれを見ていたら、なんだか無性に情けなくなってきた。
あたし、どうしたのかしら？
今日は凄く変。
ううん、それとも、やっぱり、あたしっていやらしいのかしら？お兄ちゃんが言うように、実は淫乱なのかしら？
他の人と比べたら、どうなんだろう？
……。
「はぁ」
大きく溜息を吐き出してしまう。
そんなことは、比べたことが無いから分からないけど――、
少なくとも、こんな所で自分のお兄ちゃんのことを考えながら濡れているのって、どう考えてもいやらしいとは、思うわよね。