【花よりも花の如く】-4
あたし、いやらしい匂いしてるのかしら?
自分では分からないけど、痴漢に遭うのは、嫌。
あたしはまだ遭ったことはないけど、うちの学校の生徒も何人か遭ったことがあるみたい。
そんなこと聞いたら、凄く怖い。怖くて、あたしきっと、声なんて上げきらないと思うし……。
ううん。
それより、……痴漢に触られて、感じちゃったら、その方が怖い。
そんな変態に触られて感じちゃうの、そんな人の話、友達の持ってるエッチな小説とか漫画とかで読んだことあるけど、ずっと信じられなかった。
けど、……お兄ちゃん。
お兄ちゃんに無理矢理されて、それでも拒みきらなくて何度もイかされて、何度も何度もヤられて、……怖いのに、嫌なのに、あたし……。
あたしきっと、痴漢にあっても拒みきらないかも知れない。その方が怖い。お兄ちゃんみたいに、あんなことされたら、絶対あたし……。
お兄ちゃんの手が、あたしのアソコを触ってくる感触が蘇ってくる。あたしの小さな突起に触れて、ゆっくりと感触を楽しむかのように弄るお兄ちゃんの指先の動きが……。
あんっ。
ぴくんと、あたしの奥底が反応した。心臓がドキドキしてきて、太股の付け根がモジモジしちゃう。
駄目。あたし、こんな所でそんなことを考えちゃ駄目。
折角パンツが乾いてきたのに、また濡れちゃう。折角お兄ちゃんが、一緒にトイレに入って綺麗に拭ってくれたのに……。
あっ、駄目。そんなこと思い出したら駄目。体が火照ってきちゃう。顔が赤くなっているのが分かる。
あたし、もしかして、いやらしい匂いしてる?
ぎゅうぎゅうに身動き取れないくらい詰め込まれた電車の中で、隣り合うサラリーマンのおじさん達が怖い。
おじさん達には、あたしのいやらしい匂い分かるのかしら?それとも、既に分かってるのに気付かないフリをしてるのかしら?
恥ずかしい。
ううん、それより、怖い。
この中に、お兄ちゃんみたいな人がいたらどうしよう。お兄ちゃんみたいに触ってこられたら、あたし……。
やだ、絶対に、嫌!
……でも、あたし、このままじゃ痴漢に遭っちゃういそう……。
今日は時間が経つのが凄く遅い。お兄ちゃんは「早く帰って来い」って言ってたけど、この分じゃ何時になるか分からないわね。
それに、今日はあたし部活に行かなきゃいけない。
先輩に借りてた絵画展用の資料を返さなきゃいけないし、作品のプレートを作らなきゃいけないから。
ううん。プレート作りは明日でもいいかも。資料を先輩に返してすぐに帰れば、そんなに遅くならずに家に帰れる。
お兄ちゃんは今日は教習所の日だから、バイトの日よりも早く大学から帰ってくるけど、もしかしたらお兄ちゃんが帰って来る頃までには、家に帰っていられるかもしれない……。
って、何を考えてるのかしら、あたし?!
ふとそんなことを考えた自分に驚愕する。
あたし、お兄ちゃんよりも早く家に帰っていたいの?お兄ちゃんに「早く帰って来い」って言われたから?
……早く帰ったら、朝の続きをされるっていうのに?
あたし、朝の続きをされたいのかしら。あんな、あんなことを……。
あっ……。
あたしのアソコが、びくんと蠢いたのが分かった。
今日は何だか変な感じ。体の奥底が熱を持っていて、体が火照ったままなのが分かる。
ちゃんとイってないから、イっちゃう直前で止められているから。早くイきたいのかしら、あたしの体。早くお兄ちゃんに続きをして貰いたいのかしら。
あたし、お兄ちゃんに抱かれたいの?
体がムズムズするのは事実だけど、相手はお兄ちゃんなのに。あたし、それで良いのかしら?
ううん、絶対、兄妹だもん、駄目よね。倫理的に、道徳的に、世間一般的に、絶対駄目よね?!
でも、……でも、あたし、帰ったら絶対、抱かれるんだわ。
絶対駄目だって思うのに、嫌だって言うのに、それでも抱かれて、……イっちゃうんだわ、あたし。
休み時間になってトイレに行ったら、やっぱり少しだけ濡れていた。
今日は二回目。
きちんと拭いてないと滲みになっちゃう。これ、お気に入りのパンツなのに。
パステルピンクのフリルのパンツ。
よく考えたら、これって初めてお兄ちゃんに抱かれた時に履いていた奴だわ。先輩へのバレンタインのチョコを作っていた時に。
あの時は、本当に凄く怖かった。ビックリしたし、相手はお兄ちゃんだし。凄く怖くて本気で嫌で、凄く泣いて止めてって言ったのに全然止めてくれなくて。
あたしの体を舐め回して、台所のテーブルの上に座らせられて脚を大きく広げられて、イってしまうまでアソコを舐められて、ふらふらになったところを更に、テーブルに押しつけられて、後ろからお兄ちゃんに……。
もう、お兄ちゃんの顔を見るのも嫌だった。お兄ちゃんと同じ家にいるってことすら怖くて嫌だったのに……。