【花よりも花の如く】-2
「大丈夫、痛いことはしないよ」
愛花の首筋から、耳たぶの方へ、ゆっくりと唇を這わせる。
「ただ、もっと沢山気持ち良くさせてやるだけだから。安心しな、愛花」
可愛らしい耳たぶを噛むようにして囁いてやると、両方の穴を刺激されながらも、愛花は身を仰け反らせて体を震わせた。
きつく瞑った目に、うっすらと光るのは、涙だろうか。
可愛い。本当に、可愛いよな、愛花は。
そう、俺はこいつをもっと気持ち良くさせてやる。
もっと弄って、もっと辱めて、もっと俺の、俺だけのモノに……。
なぜなら、お前は、俺の大事な――
……なんだから。
制服のままで、こんな所で……嫌っ！
「愛花ー」
階段の下から、お母さんの声が聞こえた。うちの階段は途中でゆるくカーブしていて、下からは二階の様子は見えないんだけど、ハッとすると同時に慌ててしまう。だって、こんなトコ見つかったら、どうするのよ？！
お母さんの声は「もう学校に行く時間よ、何してるの？」って、更に追い打ちを掛けるように聞こえてくるけど、『何してる』とか、そんなこと答えられる訳無いじゃない？
「お兄ちゃん……、駄目っ、もう駄目っ、……学校、遅れちゃう」
あたしは、あたしのアソコに前からと後ろからと手を入れて、あたしの体を持ち上げるようにして弄っているお兄ちゃんの手から逃れようと、身を捩らせた。
それなのに、あたしの中に挿し込んでいるお兄ちゃんの指は、お母さんの声なんか全く気にしてなくて、ああもう、そんなことされたら、あたし駄目になっちゃう……。
「もう……、もう駄目ぇ……！」
あたしが思わず感嘆の声を上げた途端、お兄ちゃんは「そうか」と言って、あたしの中から、じゅぐりと卑猥な音をさせて指を引き抜いた。
「あっ……」
もうちょっとでイきそうだったのに……。
「なんだ、不満か？」
思わずあたしが漏らした声に、お兄ちゃんがにやりと笑う。
うー……、そんなこと、答えられる訳ないでしょ！
お兄ちゃんは、よくそういうことをする。後少しで、何も考えられなくなるくらい真っ白になれるのに、後ちょっとでイってしまえるのに、その寸前で止めるの。そうして、あたしの方からお兄ちゃんを求めるように仕向けるのよ。
勿論、わざとなのは分かってる。だって、そんな時、凄く意地悪な顔してるもの。
あたしが苦しくて悲しくて、ただ喘ぐしか無いって言うのに、凄くいやらしいこと言って、あたしの反応を見て喜んでるの。
凄く……、意地悪で、変態で、酷いと思う。
けど、離してくれたんなら急がなくっちゃ。学校に遅れちゃう。
あたしは慌てて乱れたシャツをスカートの中に押し込むと、歪んでしまった胸のリボンを直して、髪の毛を手櫛で梳かしながら階段を下りて行こうとした。
「愛花」
階段に足をかけたところで、お兄ちゃんが呼び止めた。
「お前、そんなぐっしょり濡れたパンツのままで学校行く気か？」
にやにや笑いを含んだ声。
「んないやらしい匂いさせたままで電車に乗ってたら、痴漢に遭うこと間違いなしだぜ」
聞いた瞬間、ムカッとした。
一体、誰のせいで！
思わず、きっと睨み付けたあたしに、お兄ちゃんはにやにや笑ったままで親指を立てると、背後のトイレを指さした。
「来な。拭いてやるよ」
……。
凄く、いやらしい誘惑。絶対そんな誘いに乗ったら駄目だって思う。
そんな暇はないし、そんなことお兄ちゃんの思う壺じゃないって思う。
それなのに、……あたしは、促すお兄ちゃんの後に付いていってしまった。
二階のトイレは、普段からあたしとお兄ちゃんしか使ってない。
けど、二人でこんな所に入った事なんて、勿論無い。二人で入ると、結構狭い。そして、この狭さが恥ずかしい。
お兄ちゃんはあたしを個室の中に招き入れると鍵を掛けた。
体を入れ替えて自分の方が便座に腰掛け、あたしをお兄ちゃんの前に立たせる。
そうして、あたしに「スカートを持ち上げな」と言ったの。
そんなこと出来る訳ないって思う。そんな恥ずかしいこと、あたしが出来る訳ないじゃないって思う。
それなのに、……あたしは、言われるままに自分でスカートの裾を掴んで、お腹の所まで持ち上げると、お兄ちゃんにパンツを見せたの。ぐっちょりと濡れて、冷たくなったパンツを。
こんな恰好、凄く恥ずかしい。
お兄ちゃんの手があたしの腰に伸びてきて、ゆっくりとあたしのパンツを膝の所まで引き下ろした。