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「手を出さない約束だったのにごめん」
二度目のキスの後に、そう言って私のおでこに自分のおでこをコツンと合わせる。
「早く、別れちゃえよ。
俺が真由花にオンナを思い出させてやる。
良い女なんだって自覚させてやるよ」
私の下の名前知ってるんだ・・・さすが、経管。
「もうそんな男のために泣くな。俺が心も体も女として愛してやるから」
さすが、経管・・・こんな時にそう思ったら少し可笑しくて。
「お前なぁ・・・俺が今真剣に話してるのに、笑うなよ」
私の笑った顔を見て阿部さんも苦笑いした。
シリアスだった空気が一瞬緩んだ。
「私、イイ女かな?」
「あぁ」
「また恋が出来るよね」
「俺とな」
「今度の人とはセックスレスじゃないよね」
「今度の男は俺だから。安心しろ」
「さて、泣いたらすっきりしたし疲れたね!そろそろ寝ようか!」
「・・・お前、実はSだろ?」
手をつないで2人で立ちあがった。
今でもこーちゃんをほんの少し・・・愛してる。
急に嫌いになんかなれる訳ない。
でも、もう明日から愛さない。
愛してくれないこーちゃんをもうこれ以上は愛せない。
ありがとう。
楽しい時間もあった。
そう思えたのは、やっぱり今のキスのお陰。
女として、ほんの少しでもまだ魅力が残ってるんだと思わせてくれた今のキスのお陰。