ロ-5
昨日まで何も知らなかった人に、一体自分の事をどこまで話していいものか悩むけど。
逆に今までの私を一切知らない人だから、何のしがらみもなく言えるような気がした。
それに・・・
マスターとの話は阿部さんが来た事で中断されて
言い足りない気持ちもあった。
「・・・昨日、愛しているからと啖呵を切ったんだけど」
「あぁ」
「今同棲してるんだけどね」
「・・・・あぁ」
「この春、マンションの更新なんだけど。更新するのをやめようって言われた」
「・・・・そうか」
私に気まずい思いをさせないようにしているのか
視線をこっちに向けなかった。
「昨日、あんなに愛してるって言ったけど。独りよがりだったみたい」
「何か、前兆は・・・・あったのか?」
前兆。
あったと言えばありすぎるほどのセックスレスは
そこまでこの人に言ってもいいものかと
軽く酔った頭で考えた。
「なくは、ない」
「ふ〜ん」
それ以上踏み込んでこない阿部さんは
聞き上手なんだか、関心がないのか。
「ねぇ?私って女として魅力がないかな?」
「ん?なんで?浮気でもされたか?」
浮気、か。
こーちゃんは他の人とはエッチ出来るのかな。
「どーだろ?」