白香語り(6)-2
これのアイデアはわたしのもので、漫画を描けるわたしの腕前で、設計図とまではいかなくても複数の方角から見た詳細なイラストを数枚、ずいぶん前に渡してはいたのだが、それでは台が小さく、実現への障害になってしまっているようだった――「研究室」側から示された案では、台はずっと大きく、用具というより「設備」と呼ぶべき代物になっており、わたしが構想していたコンパクトさは失われてしまっており、
「組み立て式にしたから、君たちの家でも使えるはずだと思うけどね。――白香くん‥‥うーんと、なんて言うのかなあ‥‥。“絵を描く”のと、“設計する”ことは、別次元の作業なんだよ」
などと、いつになくフクザツな
片桐氏なりに気を遣ったらしいその言い方が、わたしには却って応えてしまった。片桐氏がそう言ったわけではなかったが、君のはお絵かきだと言われたような気がしたのだ。その点が、自分が撮る映像のほうにも当てはまるような気が、そこが自分の弱点であるような気もした。そのまま、自分から催促する気も失せ、製作を宙に浮かせたままにしてしまっていた。
それでもわたしは「拘束バケツ排泄」のアイデアを捨てられず、あの身長計で代用できないかとも考え、いろいろ試してみたのだが、逆に身長計を壊す結果に終わってしまい、諦めざるを得なかった。何ごとも、思うようにはいかないものだ。
そしてこの責めは、桃香はもちろん、紅香だって理解はしてくれないだろう。でも。
(わかってもらえなくったって、かまわない‥‥)
わたしは、己にそう言い聞かせるのだ。
そしてわたしは、いつかと同じように、ふたりの妹とお風呂に入った。
名目は、これもいつかと同じく、桃香のカラダを洗ってあげるためだ。もちろん実際は、さらにあのコを弄ぶためだ。紅香は最初、抵抗を示したが、わたしが叱り、命令すると、今度は素直に従った。わたしは、目の粗いタワシを桃香の目の前にかざした。
「ほぅら桃香、これでゴシゴシしてあげるわよ」
言いながら、それで桃香のカラダを、口にしたとおり、音がするくらいにゴシゴシとこすると、あのコは、
「ひゃっ、ひゃうううっ! だっ、だめっ! 桃香っ、感じちゃうよう‥‥!」
と叫びながら、面白いようにビクンビクンとカラダを跳ねさせた。
だけど、逃げられはしない。この間、紅香をこうやってお風呂場で弄んだときの反省を、わたしは生かしていた。浴室の天井にも、懸架装置を利用した器具を取り付けていたのだ。自由に懸架すること自体はできないが、固定状態で女体を上から吊るすくらいのことはできる。いま桃香に対してそれをやっていた。桃香の両腕は縄で上へねじり上げられ、その縄は、天井の器具へと伸びていた。