白香語り(4)-4
「ほ〜ら。たかい、たかーい」
「ひゃうん! ひゃうううン‥‥!」
片桐さんは、調教を始めた。両手で裸の桃香の左右のおっぱいをつかんで――いや、つかんではいない、両の乳房の下面だけに手をあてがって、桃香の体を宙に浮かせていた。自身も大きく反らせ、体全体で桃香を支えるような格好だ。桃香も片桐さんの頭に手を巻きつけている。
「すごっ、すごおおおいっ! 桃香っ、こんなの初めてええぇっ!」
桃香の乳房は、かなり歪んだ形になっている。そこから悦楽の電流があのコの全身を駆け巡っていることは、容易に見て取れた。片桐さんの手は両方とも、くの字に大きく開いている。ある程度の握力は込めているようだが、それよりも桃香自身の体重で責めたてようとする趣向のようだ。
桃香がその責められ方を気に入っていることは、
「う――。てっ‥‥手だけじゃさすがに――お、重い‥‥。やっ、やめていいかい? 桃香ちゃん‥‥」
と降ろそうとする片桐さんに、
「ふうんっ、や、やめないでえっ。桃香、軽くなるからあっ!」
と、顔を真っ赤にしながらも同調の嬌声をあげていることからも明白だった。どうやら、新しい快楽に目覚めたようだ。わたしは、自分が思いつかなかった片桐さんのそのやり口に苦笑しながらも、自分も頑張らなきゃ、という気持ちになった。桃香は、本気で感じているようだった。鷲づかみではないが、ほぼ全体重がすっかり敏感になっている両の乳房にかかっているのだ。
「あふうっ、あふうううっ‥‥!」
という途切れ途切れの嬌声とともに、口の両端からだらしなくよだれを垂らしながら。さぞかし、悦楽の電流が全身を駆けめぐっていることだろう。
その、双乳持ち上げ責め‥‥とでもいうべきモノの後、桃香のよだれを、片桐さんに拭かせた。片桐さんは喜んで、ハアハアと息を荒くしながら、小さい桃香の体を包み込むようにして、顔や首筋のてらてら光る液体をタオルで拭いていた。特に、あんな責めを受けながら、小さくもぐんと形よく盛り上がった乳房まわりは、いつ終わるのかと思えるくらいに入念に。
普通に考えれば、かなりの変態プレイだ。桃香のような美少女にこれだけのことをしたのだから、片桐氏は満足して然るべきだろう。だけど――。
わたしはじっくりと観察し、そして見抜いていた。彼が、なにかいまひとつ――といった翳りの表情を、笑顔のうちに時折、走らせていることを‥‥。