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夏みかん
【青春 恋愛小説】

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夏みかん-2

二人は帰り道、数学の高田先生はどーとか古典の桐山はどうだとか世間話をし、二人で笑い合って帰った。と思う。
何故なら、菜智は嬉しいやら緊張するやらで、まともに話の内容を覚えていなかったのだ。
気がついた時には、自分の家の前に着いていたのだ。
はぁと深い溜め息をつき、ちゃんと会話出来ていたかな、私おかしな事言わなかったかな。とあれこれ悩みながら玄関を開けた。

「ただいまー」


「お帰り。手洗って来なさい、お隣りの山田さんにもらった夏みかんあるから。お中元で沢山貰ったんですって」

「わかったー」

自室に行き制服を着替えてから、手を洗いリビングに行った。
そこには、二等分された美味しそうな夏みかんの乗ったお皿が既に置いてあった。

「いただきまーす」

スプーンで一口掬う。
芳しい香が周りに広った。

あ、この匂い、さっきの匂いは夏みかんの匂いだったんだ。
謎が解けてすっきりした。
菜智は少し微笑み、スプーンを口に運んだ。

パクッ

今年初めて食べた夏みかんは、甘くてちょっぴり酸っぱかった。


まるで、恋のような味だと思った。


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