あなたは紅香と‥‥。(6)-3
さて、それはそれとして――。
美少女は、湯あがりだからなのか、どこか焦点の定まらないような、危なっかしい目つきで、ぼんやりとあなたと長女とを見較べた。
(ばれることは、ないはずだ――)
とわかってはいても、実際にそうだと確かめられるまで、あなたは動揺していた。
実際、桃香は気がついた素振りは見えなかったが、そんなあなたを
視線だけではなかった。動揺を隠しているあなたをどう見たものか、彼女は、
「どうなの? お兄ちゃん」
とつぶやいたかと思うと、はらりとバスタオルの上半分を、なんでもないことのようにはだけたのだった。
ぷるん。
当然だが、こぼれるモノが、可愛らしく無邪気にこぼれ出た。
あなたの前に再び、彼女の林檎のようなおっぱいが露わになった。無論、湯あがりの肌に火照るそれは、無邪気なモノなどではない。一難去って、また一難であった。
(英語で言うと――『アウト・オブ・フライング・パン・イントゥ・ザ・ファイア』‥‥だった、かな? ――『フライパンを飛び出したら火の中へ』‥‥まさに――!)
あなたの脳裏にそんな、英語の授業で教師が雑談として言っていたことが浮かんだ。
(――だが、決定的に異なることがある‥‥)
いや、白香の乳と桃香の乳との比較ではない。白香乳を狙う前の、先刻の調教との対比だ。あれは、あなたは白香に言われるがままに、このコを見ていただけだ。言うならば、見させられていた、と言ってもいい。
だが、今回は、違う。あなたは自分の好きなように、この美少女の可憐なおっぱいを、貪れるのだ。自由度が、格段に違う。乳好き、おっぱい星人であるあなたが得られる満足もまた、格段に大きいはずだ。
(紅香‥‥)
あなたは、また空に――いや、あなたの内の紅香に、呼びかけた。
(教えてくれ。俺は、どうすればいい?)
回答は、なかった。
(進むべきか、それとも退くべきなのか――?)
答は、ない。あなたのイメージの紅香は、今度は道を教えてはくれなかった。
代わりに、というわけではないが、現実が容赦なくあなたに襲いかかってきた。
「ン‥‥」
いや、襲いかかっては大袈裟かもしれないが、とにかく――。
ぱちり。
蒲生白香が、目を覚ましたのだった。