ザ-5
改めてじっと見てみれば、かなりの高身長とかなりのイケメンで
今まで「奢ってよ」と言えば、どんな女性もみんな奢ってくれたんだろう。
その図々しさに半分呆れて
確かに私が悪いのかも、と半分納得して・・・
今帰ってもこーちゃんは帰ってないか。
と、1人パックする姿を想像してみる。
一杯か。
「良いですよ。行きましょう」
ワーカホリックの、エリート君に一杯奢るのも楽しいかもしれない。
私のその言葉に嬉しそうに笑って
「俺の行きつけでいい?」
と、私が返事をする前にタクシーを止めた。
「関内まで」
隣の駅なのにタクシーを使うあたりエリート君だ。
「まだ9時半なんだから電車で行けばいいのに」
そう言った私に笑って
そっと耳元に顔を寄せる。
「あの集団と一緒に帰りたくない」
女遊びに慣れているのか、からかっているのか。
とにかくイケメンのエリート君はそんな言葉を恥ずかしげもなくつぶやいて
私の髪をくしゃっとした。