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僕が今住んでいる場所を気に入っているのは、人通りが少ないということだ。一応住宅街で民家が密集しているのだが、治安が悪いわけでもないのに1日を通して道で誰かとすれ違うことが少ない。まるで僕にだけ見えていないようだ。
僕はこの寂しい住宅地を、あてもなく歩くのが好きだ。そして授業やバイトがない時、頻繁に足を運ぶ場所がある。
「…ここ、ですか?」
「ああ、早く入るぞ」
昭和から続いているような、昔ながらの喫茶店だ。古くくすんだ色の外壁には枯れた蔦が血管のように張り付き、窓ガラスまでも覆い隠さんと葉を繁らせている。2代目のマスターともいろんな意味で顔馴染みだ。
ドアを開けるとカランカランと心地よい音が鳴り、コーヒーの良い香りが漂ってきた。
「いらっしゃい、久しぶりに人を連れてきたね。」
紀子は恥ずかしそうに俯いて何も答えなかった。後ろから手を伸ばし、腰ではなく、尻の中心をスカートの上から指で押した。途端に紀子はつま先立ちになって声を漏らし、こちらを振り返った。
「はは、やっぱり仕込まれてるんだ」
マスターの言葉に驚きの表情を浮かべたが、全てを悟られ絶望したのか、諦めた様子で奥の席に座った。
観葉植物で仕切られたように隠れたその席は、他のテーブルからもなかなか見えない場所だ。紀子は、その席なら他に客がいても見られる心配はないと思ったかもしれない。だがそれが間違いだった。他のテーブルから見えないのなら、どんな格好をさせられたところで見られる心配がないのだから。
「だめですよ…………だめ…だめだって……」
ソファーに座った紀子のブラウスに手をかけ、ボタンを外していった。薄暗い照明に照らされた紀子の白い肌は綺麗だった。この女の肌は、いつものことだが舞を思い出させる。恥ずかしそうにしながらも、乳首を硬く立たせるところもそっくりだ。
「はい、コーヒーお待ちどう様。あぁ、綺麗な肌だね。」
コーヒーを運んできたマスターに視姦され、紀子は咄嗟に胸を隠した。その隙に僕はタイトのホックを外し、剥ぎ取ってしまった。
「いやぁぁ…」
紀子は瞳に涙を浮かべ、体を丸めて隠そうとした。僕はその様子を見て楽しみながら、同時にコーヒーをすすって味わったが、紀子はコーヒーどころではないようだった。
「はい、いつものやつお待たせ」
コーヒーを飲み終わる頃にマスターが皿いっぱいのホイップクリームを持ってきた。それを見て紀子は、何かしら嫌な予感が働いたらしく、表情が曇った。
「どうした?察しがいいな」
「もう…嫌なことばかり……許して下さい…」
「嫌なことかどうかは遣ってみないと分からないよな?」
胸を必死に隠そうとしていた両手を後ろに組ませ、クリームを指で掬うと乳首に塗りつけた。
「あぁ…やっぱり…外でこんなこと…んっ…ひぃっ…」
クリームを塗られた乳首を口に含み、舌先で転がした。甘い乳首は口の中で硬く反応し、これまでとはまた違うスリルを乳首そのものが堪能しているようだった。
「じゃぁ次は…マスターも一緒に」
「やっ…やだ…それは嫌…」