4-2
次の日の朝、紀子は本当に自宅に現れた。僕を刺して関係を終わらせようなんて暴挙に出る女ではなさそうだが、一応警戒はした。
「早かったな、そんなに可愛がって欲しかったか?」
紀子は無言で、死んだ魚のような目で部屋に入ってきた。
シックな色のワンピースは直射日光に当たるとやや透けて見えた。華やかな色ではないが、幸薄美人といった表現が当てはまる紀子にはとてもよく似合った。
「上がれよ」
玄関の上がり口に立ったまま、紀子は俯いていた。
実に面倒くさい女だ。自分から訪問しておきながら、僕の言う通りに動けば今の関係を受け入れたことになるとでも思っているのだろう。
「あっ!」
僕は紀子の左手首を掴み、乱暴に引き寄せると、その拍子にハンドバッグが落ちたことなどお構い無しで右の手首も掴み、壁に押し付けた。
いつもと違うよそ行きのメイクをし、清楚な美人を装った顔が、恐怖に歪みながらもこれから起こることを期待して上気していた。
「あ、あの…穿いたままだと汚れちゃう…」
パンプスを穿いたまま部屋に連れ込み、壁に押し付けているのだ。万歳の状態で身動きできず、瞳が潤んだ。
「あの…何か言って下さい…」
最初にこちらからの声かけに沈黙したのは紀子だ。僕も沈黙に付き合ってやるだけだ。
「んむっ…んうぅ…んっ…待って下さ…ぁむっ……んっ………くちゅ………んん…………」
強引に唇を奪い、舌を絡ませた。それだけでは許さない。唇全体をくわえ込むようにして舌で舐め、唇を甘噛みし、顎や鼻まで舐め回した。
「あぁ…お化粧が取れるから…」
首筋に吸い付き、何ヵ所も痣になるほど男に貪られたと分かる痕跡を付けた。
口ではやめてだの、ひどいだの言っていたが、頬は赤らみ、身体は熱を帯びていった。
細い腰に腕を絡ませて抱え、ベッドではなくソファーへ転がした。ワンピースが捲れ、太股まであらわになった。
黒地のストッキングと、ガーターベルトが見えた。僕は紀子の足の間に座るため、足首を掴んで開かせた。
「家からずっとこれで来たのか?」
「……はい」
下着は穿いていなかった。それどころか、少しずつ生え始めたアンダーヘアを、自分できれいに処理していたのだ。
僕はズボンの膨らみに血液が集中していくのが分かった。紀子の足を離すと、立ち上がってソファーから離れた。
「え…あの…こういうの好きじゃないですか?自分から求めてるの…だめ…ですか?」
不安げな声を出す紀子に向き直ると、抱き寄せて立たせ、ベランダへ連れ出した。
「あ、あの…」
背中のファスナーを下ろして足下にワンピースがはらりと落ちた。赤い花の刺繍が施された黒いブラを外し、ベランダの手すりにかけた。
紀子が着けているものは、プラチナのネックレス、ガーターベルト、ストッキング、パンプスだけだ。白い肌がガーターベルトの黒で強調されていた。
僕はベランダに置いてあったペットボトルから蓋を外すと、向かい側の浪人生の部屋の窓に向かって投げた。
コツン、と軽い音がした。
「ねぇ、嘘でしょ?待って…あっ…んんっ…」
紀子も窓の方へ向かせ、反応があるまで紀子の乳首をつまみ、指先で転がしながら待った。
既に硬く尖った乳首を親指と中指でつまみ、人差し指で乳首の真上を撫でるように責めると、それだけで身を捩りながら声を漏らした。
30秒程待つと、重たい色のカーテンが揺れ、カラカラと窓が開いた。浪人生はこちらを見ると、僕に対してあたかも勉強の邪魔をした迷惑者を蔑むような目を向けたが、紀子の身体に釘付けになった。
僕は乳首を責める手を止めず、顎をくいっと動かしてこちらに来るよう合図をした。浪人生は驚いた表情を浮かべたが、渡りに船とばかりに窓を閉め、カーテンを下ろした。
「はぁ、はぁ…怖かった…オバさんの身体なんて興味はないってことよね…」
それには答えず、紀子を部屋へ入れると、玄関の方を向かせて床に座らせ、足を開かせて陰核の包皮を剥いて指でなぞり始めた。
するとすぐに家のチャイムが鳴った。
「鍵開いてるから入れよ」
「えっ?待って、嘘でしょ…ひぃっ……」
浪人生は律儀に鍵をかけると入ってきた。
「………あの…」
「勉強ばっかりで溜まってるだろ?この奥様が搾り取ってくれるってよ。マン○とケツの穴、どっちでしたい?」
浪人生は選択権を与えられて驚いていたが、即答でマン○と答えた。
紀子も観念したのか、抵抗はしなかった。
僕は紀子の前で全裸になった。浪人生は恥ずかしそうにズボンを下ろしたが、パンツの穴からペニスを出しただけだった。
僕は何も指示を出さなかったが、紀子は右手で僕の、左手で浪人生のペニスを握り、優しく扱きながら交互に頬張った。
「こ、この人…ひ、人妻なの?どういった関係?」
浪人生は自分のペニスを握る手の薬指に指輪がはめられていることに気付いた。
「出会い系で知り合ってですね…」
「主従関係なんだよ。紀子、誰がきっかけを質問したんだ?関係を聞かれたんだからちゃんと答えろ。それに誰が口を休めろって言った?」
紀子は慌てて浪人生のペニスを口に含み、湿った卑猥な音を立てて奉仕を再開した。
「ご、ごめ…ごめん、もう無理、で、出るよ…んっ」
紀子が口を離すと、何週間、いや、何ヵ月溜め込んでいたのだろうと思うような濃厚な精子を紀子の顔中にかけた。
青臭い精子の匂いにむせている紀子を、浪人生は気遣ってティッシュで顔を拭いてやった。
僕はそれが終わるのを待たずに紀子を押し倒して四つん這いにすると、ゴムを装着してローションを垂らし、前戯なしで肛門へと挿入した。
「あっ!うあぁぁっ!やぁん!」
そのまま僕は紀子の膝を抱えるように後ろへ倒れた。アナルの結合部が浪人生に丸見えになり、パックリ開いたマン○も…。浪人生は萎えない逸物を扱きながら紀子にワレメに押し当てた。