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覗き屋の悔恨
【フェチ/マニア 官能小説】

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覗き屋の悔恨-1

不覚!

午後11時過ぎ、私は仕掛けた小型カメラを回収するため、我が社の女子トイレに忍び込みました。

誰もいない深夜のビルです。物音を立てないように芳香剤を装った小さなアクリルボックスからカメラを取り出し、再生してみると、全てが狙ったアングルではありませんが、秘書室の彼女も、総務部の彼女も、顔も、あそこもしっかり映っていました。

ところが、トイレを出た時、運悪く、見回りに来たガードマンに見つかり、「ちょっと、あんた、何をやっているんだ?」と呼び止められてしまいました。

しかし、私もぬかりありません。汚れたツナギの作業服にビニールの手袋と長靴、それに手にはバケツ、どうみても「掃除のオジサン」です。
自信を持って、「ああ、ガードマンさん、ご苦労さん。この通り、掃除ですよ」と答えましたが、これが誤算でした。彼は「こんな時間に掃除なんて聞いていない。」としつこく顔を覗き込み、「あれ、あんた、えっ、経営企画部の椿部長じゃないですか!な、何をしているですか?」と騒ぎ出しました。

慌てた私が「い、いや、人違いです。そ、掃除の加藤です」と手で顔を隠しました。しかし、自分の癖は気がつかないと言います。

彼は「そんなことはない。掃除のオヤジが俺たちに『ご苦労さん』なんて言う訳がない。いつも、そう言って声を掛けてくれるのは椿部長だけ。顔を隠したってダメだ。絶対に間違いない、あんたは椿部長だ」と言い切りました。

何気なく言っていたことをガードマンが覚えていたとは……

気が付くと、警備本部室から何人ものガードマンが駆けつけ、バケツの中に隠していたカメラも取り上げられてしまいました。

「何だこりゃ!」

再生された映像を見て呆れかえるガードマンたち。もう「こんばんは。椿経営企画部長!」と最敬礼はありません。彼らの顔には、「このエロオヤジが!」とはっきり書いてあります。

女房になんて言おうか、そして、これからどうなるのか、私は顔が真っ青になってしまいました。


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