あなたは紅香と‥‥。(1)-1
「海田くーん」
紅香の声が、風のなかを飛んできた。さわやかな初夏の風‥‥と言いたいところだが、頬に当たる風は、湿っていた。
見ると、明るいレモン色の服の彼女が、あなたに駆け寄ってくるところだった。あなたに向けられた屈託のない笑顔は、服よりももっと明るく輝いている。手には、淡い緑色の傘。女性用の、お洒落な細い傘だ。あなたには知識はまったくないが、なにか、ブランド品なのかもしれない。見れば、靴もそれなりにお洒落なものだった。
しかしあなたとしては、それらよりも、走ってくる彼女の、そのレモンイエローのサマーセーターの揺れる胸に、目を奪われざるを得なかった。提げていたスポーツバッグの取っ手を握る手に、汗を感じた。
ここのこころ、蒲生白香は、
「まあ、競争のないスポーツの、選手のコーチ‥‥みたいなものだと思って、気楽にやってよ」
と紅香の調教にあたる心構えのようなことを、あなたに言ってくれていた。
「条件さえ守ってくれれば、好きにやっていいのよ。紅香のオッパイで、どうぞ楽しんで」
白香がにやにや笑いながら言うと、妹の桃香も、
「いいなあーお兄ちゃん、紅香お姉ちゃんのオッパイをモミモミしたりチューチューしたりできるなんて」
と、にこにこ笑いながら付け加えてきたものだ。当の紅香が、おっぱい丸出しの特別なブラジャー姿で真っ赤になって胸を隠しているその脇で。
(まったく、なんて姉妹だ――けしからん‥‥!)
と、あなたは呆れたものだ。しかしまた、目の前の紅香の、細い腕をクロスさせたくらいでは到底隠せようもない巨乳が、気になって気になってしかたがないあなたも、その場にいたのだった。
「これはね海田くん、オープンブラというのよ」
蒲生白香は、やはりにやにや笑いながら、その羞恥感満載の下着をあなたに説明してくれた。あなたはそれに耳を傾けながらも、目のほうは吸いつけられたように離せなかった。
精緻な刺繍の白のそのオープンブラと、隠そうとするそのポーズゆえに、なおのこと艶かしさを強調しているかのような、丸みを帯びた、大きくみずみずしい紅香の美乳に‥‥。
(い、いや、いまは目の前の現実に戻ろう‥‥)