あなたは紅香と‥‥。(1)-3
あなたは、もちろん白香監視の
「ひゃあああん! おっぱい‥‥そんな――すりすりしないでええっ!」
紅香は随喜の涙を流しながら、そんな嬌声をあげたものだ‥‥。
そのときの感触が、いま、あなたの掌に甦ってきた――じっとりと汗ばんできていた‥‥。
あなたは、必死で振り払う。
(しっかりしろっ。あのおっぱいはあのおっぱい、このおっぱいはこのおっぱ――い、いや、とにかく平常心だ、平常心ッ!)
そんなあなたの葛藤とともに、あなたたちふたりは、『SHARKNADO』の前まで来た。さも、こんな店は何度も来ているという顔を、あなたはしていた。
しかし――。
そこには、この間とは異なり、店の前までアロハシャツ等の開放的な服装のお客であふれていた。店の前のスペースにまでビーチ風のパラソルやチェアが置かれ、そこにも人がたむろしていた。音楽がかけられているのが、外まで聞こえてきていた。どうやら今日は、なにかイベントがある日らしかった。
とても、あなたと紅香が入れる雰囲気ではない。入ってもいいのだが、静かではなくてもせっかくのデートだからふたりっきりになりたかったあなたは、気後れを覚えていたのだ。見ると、紅香も同じ気持ちのようだった。
「場所、変えようか‥‥」
「うん‥‥」
あなたたちふたりはふらりと、賑やかなカフェの界隈から離れた。あまり間を空けず、彼女は知っているというラーメン屋を薦めてきた。
「向き合う席に座れないかもしれないけど、いい?」
あなたは同意した。彼女の案内でコミュニティバスというのに乗り、そのラーメン屋へとふたりで向かった。白香と初めて会った際に見かけた、背の高い小さなバスだ。ひとりがけの座席に、前後に分かれて座る。前席の紅香の、髪の間から見えたうなじ、そして肩と腋越しに前方へと続き、あなたの視界から消えていっているふくよかなバストのラインが、たまらなかった。
それはそうと、あなたには、道中気になることがあった。