紅香語り(6)-3
そしてまた、責め具は、これら三種の特殊ブラやあの溶液、そしてあの緊縛用の縄や懸架装置だけでは、ないのでした。責め具――道具というより、もう完全に機械なのですが、その名も「催淫システム」というものが、あの研究室で用意されているのです。やってくるのではなく、こちらから出向くものなのですが‥‥。
(桃香‥‥)
わたしは、妹の身が案じられてなりませんでした。しかし先ほどの快感を忘れられないみだらなわたしは、案じながらも、やがて再び、自慰にふけることになりました。今度は、本格的に‥‥。
初めは、自分の指をもうすっかり熱いアソコにちょ、ちょっと当てて。
でもそのうちに、じゅうう‥‥と挿しこんでいって――。
そして、やがて――。
「あっ、あっ、だめっ。わたし、だめっ。 あっ‥‥。はんっ――‥‥、は――はああああああああんっ!」
そんなふうにして高まり、昂ぶっていったわたしは――。
がくんッ。
突きあげるような強い衝動に屈し、ついに、達してしまったのでした。秘所からいやらし液を出しながら‥‥。
はぁーっ。
わたしはため息をつきました。目の前に自分の手を持ってくると、人さし指と中指の間で、愛液がネバネバと糸を引いていました‥‥。
いやらしすぎ、です。悄然とした気持ちになりました。
(それに、わたし‥‥。なんてしょうもないことを、考えてたんだろう‥‥。海田くんじゃなくてもいい、なんて――)
それからわたしは、実際に聞こえたわけではありませんが、先ほどの下の公園の子たちの元気な声が聞こえてくるようで、自分との対比に、言いようのない、どうしようもないむなしさに襲われたのでした‥‥。
――――‥‥。
「あんなボーっとした奴、ちょっとオッパイ触らせて、モミモミさせてあげれば楽勝だって。簡単簡単♡」
わたしの調教に入る本当に直前、海田くんがうちに来たあの日の朝、白香お姉ちゃんはわたしにそう言いました。彼を誘惑して、
「『計画』」から逃がさないようにしなさい。ただ無料で使える、便利な奴なんだから♡」
と。
(そんな言い方、ひどい‥‥)
そのときのわたしはそう思いながらも、お姉ちゃんに言い返すことはできなかったのでした‥‥。
(できれば、海田くんにはかせてもらいたかった――もらいたい、な‥‥)
わたしはそう思いながら、また彼を想いながら、純白のパンティーを、洗濯機に入れたのでした。いつもの、お洗濯に使う籠ではなく、直接。放り込むように。そして、泣きそうになりながら。――今日は実は、その彼、海田くんとのデートがあるのです。これから‥‥。
虚脱感に包まれながら、わたしはあの機械についても考えはじめました。催淫システム‥‥。