紅香語り(2)-2
Tシャツのやわらかな生地が優しく、しかしたしかな圧力を伴ってわたしのおっぱいを包みます。
(ん‥‥)
摩擦ブラは、外したままです。他のブラジャーも着けていません。したがって、いまわたしはノーブラです。
桃香のあれは、白香お姉ちゃんに命ぜられたわけではなく、あのコ自身の意思でしょう。子猫になりきったあのコは、あの日、わたしのおっぱいをこれでもかと吸い、弄り倒したのでした。
お姉ちゃんといい、あのコといい、
(どうして、あんな変態になってしまったんだろう‥‥)
と、わたしは悩んでしまいます。
(わたしはこんなに、普通なのに‥‥)
ブラだって、わたしの普通は、木綿の、ごく一般的なものです。色は、地味な白。デザインもおとなしめです。海田くんにあれを――普段のわたしを見せられる日は、訪れるのでしょうか‥‥。
「このままじゃ、いけないな‥‥」
わたしには、気になることがありました。自分たち姉妹の変態ぶりや海田くんのこともそうなのですが‥‥わたしは、お姉ちゃんに調教されてからというもの、どうしても学業のほうがおろそかになっていました。そのことは、他人に指摘されるまでもなく、自分でわかっていました。
さて‥‥。
わたしの将来の夢ついでに、お姉ちゃんのにも触れておきます。それは「映像作家」なのです。
といっても、わたしには詳しいことは全然わかりませんが、映画の監督や、TVのCM、各種PVなんかを撮るような人だと思います。
お姉ちゃんはデジカメを持っていて、すでにいくつか「作品」を撮っているのですが、この間、桃香の強い希望で、その「上映会」を開くことになったのでした。夕食の後、わが家のリビングで‥‥。わが家の洗濯機は大型のもので、乾燥機の機能もあるのですが、それが毎日のように回転する日が続いていました。
「えー、あれを観るのぉー?」
桃香が望む映像の内容を耳打ちされた白香お姉ちゃんは、露骨に気乗りしない様子でした。
「やだなあー」
わたしは、珍しくお姉ちゃんが見せた気恥ずかしそうな様子に、「集中調教期間」が終わった解放感も手伝ってか、
「お姉ちゃあーん、ずるいよー。わたしの裸は散々好きに見たくせに、映像くらい見せてくれたっていいじゃない」
と、これも珍しく軽口を叩きました。そして、桃香に、
「ねえ、桃香もそう思うでしょ? ねーえ?」
と振りました。映像の内容も知らずに‥‥。
桃香が、これもまた珍しく、
「え、え、え? い、いいの? 紅香お姉ちゃん――‥‥」
とへどもどして、わたしと白香お姉ちゃんの顔を交互に見くらべていましたから、妙だなとは思ったのですが‥‥。