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雨の日
【学園物 恋愛小説】

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雨の日-2

「途中まで入れてもらえるかな?」




はい?

今、とてつもなく自分に都合がいい幻聴が聞こえた気がして俺は、彼女を凝視する。
耳まで真っ赤にした彼女は、捨てられた子犬のように不安そうにうつむいていた。

え…?

じゃあ。

「…本気っすか!?」

彼女自ら俺の傘に入りたいと。
何の取り柄もない俺と、あ、相合い傘で帰りたいと言っているのでしょうか!?
彼女の申し出に反狂乱になりながら、心の中でガッツポーズを決める俺。
「あ、あの、迷惑ならいいのっ!!」

いつまでも返答のない俺を見て、彼女は俺が迷惑がってると勘違いしたらしい。
「い、いや!!全然迷惑じゃなから!!」
全身を使ってそれを伝える。

俺も彼女も必要以上にわたわたと慌てふためいて、なんだか可笑しくて二人で笑った。


「…じゃあ、帰りますか」
どちらともなく一歩踏み出す。

俺の隣に君がいる。
雨の音をBGMに肩を並べてただ歩くだけ。
傘越しにみる世界はなんだかくすぐったかった。

雨の日もそんなに悪くないなと思った。


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