桃香語り(4)-3
「ちゃんとわたしの手縫いで、字も手書きで――愛情を込めてね♡ 感謝してね、紅香」
紅香お姉ちゃんは言い返せず、わたしと白香お姉ちゃんが遠慮なしにじろじろ見つめるなか、恥ずかしそうにその場に突っ立っていました。
そのカラダは、アヤしい光を放ちはじめていました。地味と言えるほど飾り気のないスクール水着――スク水でした。が、そういう普通のスク水だからこそ、そして地味とは違うけれどおとなしい顔立ちだからこそ、妹のわたしが言うのもなんですが、正統派美少女のお姉ちゃんだからこその、なんとも言えないアヤしい輝きを‥‥。
そんな紅香お姉ちゃんに、白香お姉ちゃんは朗らかに声をかけました。
「そのスク水だけど、気分だけでも海っぽくしてあげようか、紅香」
「え‥‥?」
わたしは、白香お姉ちゃんが何をしようというのか、わかりませんでした。それは紅香お姉ちゃんも同じだったようで、いぶかしげな表情のまま、こくりとうなずきました。
白香お姉ちゃんは、その同意のサインを見て取ると、すばやく紅香お姉ちゃんの背後にまわり、その細くて長い指の手を、紅香お姉ちゃんのスク水の胸元に入れたのでした。
「ひゃっ――ひゃうっ?」
と紅香お姉ちゃんは素っ頓狂な声をあげ、きっとわたしと同じく白香お姉ちゃんの次の言葉で、意味するところを悟ることになったと思います。
「ほぅーら。僕はヒトデさんだよー」
わたしたち妹が理解している間に、白香お姉ちゃんの手は、奥深くまでもぐりこんでいました。
「わさわさわさー。このオッパイおいしそー♡」
そうです。お姉ちゃんの手は、まるで紺色のヒトデのように、スクール水着の下で、動きまわることになったのでした。
「ひゃあっ‥‥ひゃああああああンッ!」
右手で紅香お姉ちゃんの手を押さえつつ、左手でヒトデごっこ――特に胸のあたりをいやらしく艶かしくうごめいていました――をする白香お姉ちゃんは、まったく、楽しそうでした。
(こういうことによく知恵が回るなあ‥‥。ほんとに)
わたしは半分感心しながら――その光景を楽しみつつ――しかしまた、別のことを考えてもいました。
(――どうすれば、桃香もああいうコト、できるかな‥‥)
(そして、白香お姉ちゃんにとっての、紅香お姉ちゃんの海田お兄ちゃん役は、誰かな‥‥)
と‥‥。