白香語り(4)-2
わたしは、己の内に蒔かれた、それら理不尽な思いの
「さあさあ!」
と、声を張りあげたのだった。
「桃香、それぐらいにして。海田くんのが萎えちゃうわよ」
わたしの威勢のいい声に、桃香、海田くん、紅香は、そろってわたしを見た。
まずかったかもしれない。
もしかしたらわたしは、不覚にも強くなってきていた乙女な思いのほうのために、赤くなっていたかもしれなかった。
(も、もしも生乳を見せたとき――海田くんが、とつぜん人格が変わったように豹変して、わたしに襲いかかって、荒々しくこのおっぱいを揉みしだかれたりしたら‥‥)
(ば、ばか。白香、なにを考えてるのよ。どうしたの? こ、この場はとにかく――)
とにかくわたしは、場のリーダーたらんと、てきぱきと三人に指示を与えはじめたのだった。
その夜、遅く‥‥。
モニタのなかで、少女が制服を脱ごうとしていた。正確には、青みを帯びた画面のなかで‥‥。
心細げな少女が身につけているのは、清楚な白のスクールシャツにエンジのタイ、チェックのスカート、紺のニーソックスであった。そう、ブレザーこそ画面に見えないものの、それはわが清蘭の制服だった。そして、少女は、白のスクールシャツの上からでもわかるほど、なかなかの豊乳だった。少女は羞ずかしそうに、ぎこちなくスカートに手をかけると、おもむろに脱ぎはじめた。ゆっくりと。だが、確実に。
彼女がこちらのほうに視線をくれないこともあり、その顔に朱に染まっているかどうかは、残念ながらわからなかった。
(難しいものね‥‥)
わたしはひとり、胸のうちでつぶやいた。
ここは、わたしの
(上映会、か。それはそれで面白いかも――)
わたしは、一旦は退けたその考えの面白さを発見した。
(ふたりを呼んで‥‥。桃香にはいつもの調子で盛りあげてもらって、恥ずかしがる紅香にも強制的に観させる‥‥。ふふふ‥‥)
だがそれは、少なくとも後でやることだ。いまはこの目の前の画面に見入るべきだろう。単に被写体の少女よりもむしろ、映像そのものをチェックする必要があるのだから。
(難しいな、映像って。見るのと撮るのは、大違い。勉強不足だな‥‥)
そう、この映像の撮影者は、何を隠そう、このわたしなのだ。これは、わたしがデジタルビデオカメラを回して、撮ったものなのだ。どうやって撮ったかも、よく覚えている。目の前の映像の手前に自分がいると思うと、なんだか変な気分になってくる。