あなたは平凡な男子校生。(6)-2
赤いのは、顔だけでなく、うなじもだ。清楚な正統派美少女・蒲生紅香のそんな姿を見ながら、あなたは再び、今度はじっくりと、ブルーのトレーナーの胸の形よい二山を見ていることができた。
無意識にか、蒲生紅香は胸の前で手を組み合わせていた。その仕草は普通のものだったが、トレーナーを盛り上げるふくらみの前では、淫猥に見えた。ブルーのトレーナーのロゴがその姿勢でも形を変えているのが、はっきりと見てとれる。つまり、それほどの豊乳ということだ。
「じゃあ‥‥始め‥‥ましょうか」
あなたはおずおずと言った。彼女・紅香の宣言‥‥というか依頼は、あなたを気後れさせていた。これが、あなたの性格だ。好みの巨乳美少女が、自らおっぱいを調教してくださいと頼んでいるのに、心中でブレーキをかけてしまう。
白香がそんなあなたを見て、クスッと笑った。そして横から、
「もう‥‥いやね。せっかく自分から言ってきてくれてるんだから、もっとワイルドに対応すればいいのに。襲いかかっていきなり脱がすくらい。もちろん、わたしの指示には従ってもらうけど‥‥。――紅香はいま、あなたのおもちゃなんだから。ね〜え、紅香ぁ?」
と、あなたの緊張をほぐしてくれようとする。
(ちょっと口は悪いけど、いい奴なんだなあ‥‥)
あなたはしみじみ思い、このめぐり合わせに感謝した。なんのかんのいっても、このお膳立てをしてくれたのは、彼女・白香なのだ。そうしていると、末妹・桃香が声を弾ませて、
「わたし、あれ持ってくるよ。お姉ちゃん、部屋に入っていい?」
と、その長姉に尋ねた。白香が許可すると、彼女はさっそく、ドアのひとつに消えていったが、いくらもしないうちに戻ってきた。
(ああ、やっぱり、本当に“身体測定”をやるんだ‥‥)
蒲生桃香が運んできたものを見て、あなたの内にひしひしと実感が湧いてきた。
それは、白い身長計だった。キャスター付きで、小柄な彼女でも容易に動かせるようだった。部屋とリビングとの間の小さな段差につまずいたりはしていたが、桃香はそれを、あなたたちの目の前、リビングのほぼ中央に持ってきた。
「えーと‥‥? お姉ちゃーん、どうやんのー、これ‥‥」
はりきって持ってきた蒲生桃香だが、どうやらキャスターの止め方がわからないらしく、うろうろしながら可愛い声を出した。
「はいはい、貸しなさい」
白香が歩み出てかがみ込み、手早くキャスターを止める姿、それを感心して眺めている蒲生桃香の姿は、どこにでもいそうな、しっかり者の姉と甘えん坊の妹にしか見えなかった。
ふと見ると、あなたの横で紅香も、ふたりを見ていた。彼女の目にも、同じように映っているのだろうか――。
あなたの家には身長計はない。家庭に置かれていても別におかしくはないが、スタンドミラーと同じく、疑問が湧いた。
(わざわざ買ったのだろうか。そう安い物でもないだろ‥‥)