あなたは平凡な男子校生。(4)-2
カシュー‥‥という滑らかな音とともに、あなたの横の透明の自動ドアが開く。大きさこそ通ってきた自動ドアより小さいが、周囲の造りも自動ドア自体もどこか頑丈そうな感じがした。
煉瓦造りを模した内部フロアを通り、凝ったデザインのエレベーターの前にあなたは立ったのだが、それだけ歩いただけで、リゾートホテルのようなといえば大袈裟かもしれないが、高級なマンションであるとわかった。目的の階へ向かって、エレベーターは高く高く昇っていった。
やはり凝ったデザインの開放式の廊下を歩き、折れ曲がって建物の内部に入り、突き当たったところに蒲生三姉妹の住む一室があった。これまた凝ったデザインの表札に「蒲生」とあった。
インターホンを押した。
「はいはいはい〜♡」
黒地に赤いロゴのトレーナーを着た、妙に愛想のいい蒲生白香が出てきて、あなたは家のなかに招き入れられた。通された
(ここで、姉妹そろって、テレビを観たりするのだろうか‥‥)
これらはあなたの家のリビングにもある物だったが、ない物もあり、それらはあなたの目についた。それは、高椅子と、スタンドミラーだった。
あなたの紅香は、背を見せてベランダにいた。エプロンを、淡いブルーのトレーナーの上につけている。そのトレーナーの胸が、斜め後ろから見えた。見えた、というのは、彼女の胸のふくらみは、トレーナーの生地を確かな角度で盛り上げ、華やかなピンク色のエプロンとの間に、しっかりと隙間を作っていたのだ。そこは幅こそわずかなものの、彼女・蒲生紅香やフェミニンながらも家庭的な印象のエプロンとは似つかわしくない、妖しい薄暗がりを形成していた。
そしてあなたは、ソファに身を置き、まるで猫のように丸まって何かをしている小柄な少女に目をやった。キャラクターモデルが大きく描かれた、明るい黄色のTシャツを着ている。丸い短い髪には、明るいオレンジのヘアクリップがひとつ。じっくり観察したわけではないが、どうやら紅香とおそろいのようだ。下は、濃いめの空色のミニスカをはいていた。よく見るとその少女は、ソファの上にさらに置かれた、オレンジ色のような朱色のようなクッションの上に乗っかっていた。
(これが、妹の桃香か‥‥)