あなたは平凡な男子校生。(1)-3
ロータリー等はなく、道に、小さな背の高いバスが止まっていた。古い感じの赤い屋根の喫茶店や、何だかよくわからないお店、自転車屋等があったが、平日の昼間だというのにどれも閉店していた。車道が十字路ではなく四差路として交わり、向こう側へ延びる一本がゆるやかな下り坂となっていた。人通りも本当に少ない。まるで一時間に一本列車が来ればいいほうなくらいの、田舎駅の駅前のようだった。
あなたがぽかんとしていると、蒲生白香と名乗る少女は、あなたの疑問を察したようだった。
「こっちは流行ってないの。こっちの改札から降りて乗り換えようとすると、凄い遠まわりなうえ、開かずの踏切やら何やらがあって、大変なのよ。大袈裟でなく十二、三分ロスするの。もっとかな」
少女は丁寧に説明してくれた。あなたは、彼女が知っているという近くのカフェへ行くことになった。
さすがに舗装はされているものの、路地と言うべき細い道。そこを案内に従って歩く道すがら、
(そういえば‥‥)
疑問が、あなたの内に湧いてきた。
(この人はどうして、おれの名前を知っているんだろう‥‥)
記憶をたぐっても、会った覚えはない。初対面のはずなのだ。
可能性があるとすれば、少女のほうは以前からあなたを見ていた、ということが考えられる。あなたがあのコを見ていたように。――自分に、ひそかに見つめられるような魅力があるとは思えなかったが。
彼女のお気に入りという、その目指すオープンな感じのカフェが見えてくる頃、あなたはその疑問を口にした。そして、「お願い」とやらの大枠――概略だけでも教えてほしい旨を、彼女に尋ねた。細い道を抜け、活気のある街並みになっていた。
これに爆乳少女は、しばし迷った後、紅唇を舐め、涼やかな目つきであなたに告げた。
「わたしの妹、蒲生紅香の調教――‥‥おっぱい調教をしてほしいのよ」
え‥‥?
思わず聞き返そうとしたあなただったが、彼女はあなたを省みることはなく、ひとりで先にさっさとカフェに入っていってしまった。あなたは女尻にはあまり興味はないが、一般的に言って、そのお尻の揺れ方もまた、十分に魅力的だった。