告白-1
あの日から千里と毎日、メールを交わすようになっていた。
明日、待望のデートだという日の深夜、俺は千里に
(やっとデート?)
とメールしてみた。
千里は
(若い頃に戻ったみたい )
と画像を添えて返信して来た。
その画像は風呂上がりだったらしくすっぴんで頭にタオルを巻いていた。
(上野さん ひょっとして風呂上がりな何か?凄く色っぽい)
と返すと今度は白い豊満な谷間が見える画像を送って来た。
(そんなの見たら 明日、上野さんと会った時 変なこと想像してしまいますよ)
(ウフッ いやらしいわね )
俺を誘ってるようにしか感じなかった。
(明日、楽しみにしてます)
(私も楽しみだわ。それから上野さんって言うのやめてね 明日はデートなんだから千里って呼んでね)
俺のイチモツはそのやり取りでフル勃起していた。
デートの日、予定より15分早く千里のマンションの前に着いてしまった。
千里は時間ちょうどに現れ
「だいぶ待った?ごめんね」
と言って助手席に座った。
千里は白のカットソーに花柄のスカートといった格好だった。
「ちょっと若づくりしてみたの おばさんと一緒に歩くの恥ずかしいでしょ? だから 」
この日、千里とふたりで俺の就職活動用のスーツを買いに行く予定にしていた。
「俺さぁ、スーツなんて着たことないから何選んだらいいか わからなくて 」
「そうなんだ でも、成人式とかは?スーツじゃなかったの?」
「成人式?行ってないから ああいうの苦手で」
千里に言われるままに俺はデパートの駐車場へ車を入れた。
「デパートって高いんじゃないの? 俺、量販店の安いのでいいよ」
「ダメよ一着くらいは ちゃんとしたの持ってた方がいいし 高いって言っても女の人の着物より随分安いんだし」
「俺、成人式じゃないし 就職活動だし」
「ウフッ そうね」
デパートに入ると千里はまるで母親のようにして俺のスーツを選んでいたが俺にはどれも同じようにしか見えなかった。
スーツとシャツ、ネクタイ、ベルト全て千里に選んでもらいその上 会計も済ませてくれた。
「こをな高いのダメだよ あとで払うから」
そう言うと千里は
「ここはいいから この後出してね 」
と笑っていたが結局、この日は最後まで俺が財布を開く事はなかった。
そのあと夜景が見たいと千里がいい出したので夜景が見える時間まで少し早かったが海へ車を走らせデートスポットでも有名なヨットハーバーへ行った。
まだライトアップまで時間があったがゆったりとした時間を過ごせた。
千里は日が暮れ始めた頃 俺の腕に手を回し寄り添って来た。
それはこの後の事を意味しているのだと童貞の俺にもわかった。
「ねぇ、大切な話があるの 聞いてくれる?」
「どうしたの?急に」
千里は真剣な表情で話し始めた。
「私、年甲斐もなく貴方の事好きになりそうなの だから話しておきたい事があるの」
俺は少し戸惑っていたが黙って千里の話を聞いていた。
「実は私、今の会社の社長、神崎の愛人なの 」
「えっ?どういう事?」
俺は千里の突然の告白に驚いた。
「私が前の夫と結婚する時 夫には多額の借金があったの それを神崎がある条件と引き換えに立て替えてくれたの その条件が私が神崎の愛人になる事だったの 本当にごめんなさい 貴方を騙すつもりなかったの」
涙を浮かべ話した。
契約の事は夫にも伝えず実家からが立て替えてくれたとだけ話し毎週、神崎に抱かれていたのだと言う。
夫はその数年後、病気で他界し残ったのは借金と愛人契約だけだった。
神崎の欲求はセックスをするだけにとどまらず他の男とセックスをするところを見せろと言い出すようになった。
弱みを握られている千里は仕方なく会話を交わしたことのある俺に目をつけたのだと言った。
しかし俺を好きになってしまいこの事を告白することにしたのだと
俺はこの時、千里を強く抱きしめ
「逃げよう 神崎から逃げよう」
と言った。
「ありがとう でもあの男から逃げられないわ それに貴方を巻き込みたくないの だからもう私と会わないで」
と俯いて嗚咽していた。
「わかった もう、逃げようなんて言わない だから俺から離れないでくれ 」
そう言うと千里は俺の肩に手を回し唇を重ねてきた。
千里の唇は柔らかく俺はそれに応えるように舌をねじ込み千里もまた舌を絡めてきた。
こんなにネットリとした長いキスは初めてだった。
「他の男に抱かれてる汚い私を好きでいてくれるの?」
「俺は千里さんじゃないとダメなんだ 」
「ねぇ、お願い 私を抱いて あの男を忘れさせて 」
「ありがとう 愛してる 」
その後、俺は千里を車に乗せ神崎の住むマンションに向かう事にした。
千里は神崎にこれから俺を連れてマンションに行くとメールしてもらった。
しばらくして神崎から今晩、俺前でセックスをしろとだけ書いてあった。
「本当にいいの?」
「俺、情け無いけど俺まだ童貞なんだ だからうまくいくかどうか 」
「ごめんなさい 初めてだったのね? それが私でしかも人前でなんて本当はふたりきりで貴方の初めての女になりたかった。」
「かまわないさ 神崎の事なんて気にせず ふたりで愛し合えばいいさ」
強がってそう話したもののどうすればいいか検討もつかずにいた。