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梨花
【その他 官能小説】

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梨花-29

 「何ひとりでニヤニヤしているのよ?」
 と梨花に言われてしまった。
 「別にニヤニヤしてないよ」
 「してたわよ。何考えてたの?」
 「いや、別に。お前と結婚して幸せだなって思ってたんだ」
 「どうして? 巨乳の友達がいるから?」
 「そうじゃない。まあ何だかんだ言っても夫婦っていいもんだなっていうことさ」
 「何よ、また真似して。ねェ、この人ね、人の科白を真似するのが得意中の得意なの。私とか誰かがなんかちょっと変ったこととか面白いことを言うでしょ。そうすると何ヶ月でも覚えていてそれを真似して使う場面が出てくるのをじっと待ってるのよ。今の『何だかんだ言っても夫婦っていいもんだ』っていうのはこの人のお兄さんの奥さんが言った科白なの」
 「でも結婚してそう言える人は幸せなのよね」
 「そうね。例え亭主がソープ通いしてもおっぱいキチガイでもね」
 「えーっ、オサムさんソープ通いすんの?」
 「違う、違う。今のは例え話」
 「でもオッパイなんてさっきのタクシーの運転手の話じゃないけど、いずれは垂れちゃうのよ」
 「ああ、それは大丈夫よ。全然」
 「どうして? 梨花は垂れない自信があるの? そんなに大きければ垂れるわよ」
 「違うの。垂れても大きければこの人は不満無いの」
 「まあ、本当ですか?」
 「いやまあ、その鰯うまそうですね」
 「話を逸らすんじゃない。デカけりゃ何でもいいんだって言って上げなさい」
 「昔っから大きいことはいいことだって言いますから」
 「そんなの聞いたこと無いよ」
 「ほら、大は小を兼ねる、って」
 「いやだ。胸も大は小を兼ねるんですか?」
 「そりゃまあ小さいよりはいいでしょう」
 「あのね、オサムさん。大きいと肩が凝って大変なのよ。男の人には分からないでしょうけど」
 「分かりますよ、だから毎日こいつの肩を揉んでやっている」
 「まあ、 そうなの?」
 「うん、でもその後お駄賃上げないといけないの」
 「お駄賃ていくら?」
 「お金じゃない。30分おっぱい吸わせてやるの」
 「ギョゲッ」
 「何ですか、そのギョゲッっていうのは」
 「ハイ先生。驚き呆れてぶったまげたっていう表現です」
 「それいいねー。今度私も真似しよう」
 「悪い言葉は真似しちゃいかん」
 「悪い言葉なの?」
 「擬態語はすべて下品だ」
 「ギタイゴって何?」
 「動作を音で表現した言葉。ニヤニヤとかベタベタとか」
 「じゃ、ぐちょぐちょとかぐゃぐにゃとかは?」
 「汚いな。食べている時に変なこと言うなよ。それも擬音語と言うんだ。尤も使い方によっては擬態語にもなるのかな?」
 「オサム、そういう言葉良く使うじゃない」
 「さぁ、記憶にないな」
 「良く使うわよ。『あそこがぐちょぐちょだろ』とか」
 「馬鹿、みっともないこと言うんじゃない」
 「キャーっ、いいわネー。仲が良くて」
 「新婚さんだもの」
 「あそこって何処のことかしら」
 「あんたの場合は体中全部があそこなの」
 「私もぐちょぐちょになるまで感じてみたい」
 「私なんか男日照りでパサパサのカサカサよ」
 「それじゃユカリとジュンがレズればグチョパサで丁度良くなるんじゃ無いの?」
 梨花の露悪的な発言がきっかけで女どもは喜んでひとしきりそんな会話が続いた。
 「ネェネェ、今潮吹きって流行ってるじゃない?」
 「あんなの嘘よ。アダルト・ビデオの世界の話」
 「そうかしら、凄っく濡れる体質とか」
 「すぐ緩んでおしっこしちゃうとか」
 「グハハ、いいねそれ」
 「アスカも今度やってごらん。感じた振りしておしっこするのよ。彼氏がびっくりして脱糞するかもよ」
 酔った女達はとどまることを知らないが、梨花とオサムは実際におしっこしたり脱糞したりというセックスをしているものだから却って何も言えなくなって俯いて寿司を黙々と食べている。
 「厭だ。ホラこちらの新婚さんが照れちゃって必死に寿司食って聞こえない振りしてるよ」
 「梨花はそんなウブじゃないよ。もっと凄いことやってんじゃないの」
 「赤ちゃんプレイかなんかやってそうだね」
 「彼におむつしてやったりして?」
 「そうそう。そういう趣味の男この頃多いらしいよ」
 「ほんとマザコン多いよね。店の客なんか半分くらいはマザコンなんじゃないかと思っちゃう」
 「私が口付けたグラスで飲もうとしたり」
 「そんなの全然マシよ。この間なんか私がアタリメぐちょぐちょ咬んでたら『それ飲み干さないで俺にくれ』っていうお客がいたわ。鳥肌立っちゃった」


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