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お姉さまのミリタリー講座
【ガールズ 恋愛小説】

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お姉さまのミリタリー講座〜はじめての拳銃編〜-3

「お姉さまの意地悪…。」 さっきの事を思い出したのか由衣はケーキを口に含んだまま私の事を非難する。
 …ゲンキンな妹だと思いながら、機嫌が良くなったようで私はホッとして力が抜ける感覚を感じた。

 「じゃあ…これからM21Aのチップ・アップ・バレルについて説明するわね。」
 由衣がケーキを食べおわり、落ち着いた所を見計らって21Aを取り話を進めた。
「何ですか…?そのチップアップバレルって。」
 由衣は普段聞き慣れない単語を聞いて興味深そうにしている。

「まあ見ていなさい。」
 そう私が言うと銃の側面に付いているレバーを操作した。
 トリガーの付け根の部分から跳ね上がるようにしてバレルが出てくる。
「あ!バレルが…。」
 流石に予測していなかったのか素直に驚いてくれる…。
「普通のオートは撃ち始める時にスライドを引いてチェンバーに弾を込めるのだけど…それでは由衣みたいな女の子には引けない場合もまま有るわね。」
 少し由衣が怒った顔をした気がするが、今度は手元に置いてあった銃弾を手に取り飛び出したバレルから直接チェンバーに弾を込めた。
 バレルを押し込み、ハンマーをコックする。これでトリガーを引けば弾が発射されるはずだ。
「でも…この銃はバレルを外に出す形式にする事で非力な女性でも扱えるようにしてあるわ…これなら由衣にも使えるはずよ。」
 そのまま的に向かってトリガーを引いた。普通の銃より迫力は欠けるが、手に振動が伝わる。
(相変わらず寂しいリコイルね…。)
 婦人向けの銃なので仕方ないと言えば仕方ないのだが、いささか撃った時に迫力に欠ける気がする。
 撃つ感覚を楽しむタイプの私にはあまり好ましい銃ではないと言えるだろう。

 少し撃つと弾を撃ち尽したのかホールド・オープン状態になる。
 空になったマガジンを外して予備のマガジンを挿入し、黙って私の行動を見ていた由衣に手渡した。
「やり方は私の事を見ていて分かったわね?」
「はいっ。」
「それじゃあ、実際にやってみて。」

 私がそう言うと由衣は素直に私がやっていたのを再現する。
 一回の説明で淀みなく発射までのプロセスを完了する辺りは、ちゃんと私の事を見ていた証拠だろう。
 しかし、ハンマーを起こした後由衣は的を狙って撃とうとしていのだが少し構えがおぼつかない。
「あ…。」
 私は由衣の背中に近付いて身体を密着させ由衣の手を支え構えを安定させた。
 心なしか由衣の顔が赤くなっているような気がしないでもない。
「良いわ…トリガーを引いて。」
 乾いた音がした瞬間、無事銃弾は的の中心部分を貫いていた。


「ざっとこんな感じかしら…どう?」
 撃ち終わったのを確認してから私は由衣に手応えを聞いてみる。
「これなら来週の授業も大丈夫です…ありがとうございました、お姉さま!」
 由衣は素直に喜びを表情に出す…見習いたいものだ。

「その銃は記念にあげるわ…大事にしてね。」
 少し勿体無い気もするが大切な妹のデビューだ。プレゼントの一つくらい喜んであげよう。
「良いんですか!?」
「良いわ……それじゃ、一段落したしそろそろ上に上がってお茶でもしましょうか。」

 身の回りを片付けて上に戻る準備をする。可愛らしい妹の笑顔を見ながら私は次に教える事について頭を巡らせる。

(どうしたら由衣は銃にのめり込んでくれるかしら…。)

由衣の事を見つめる私の目は妖しく輝いていた。


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