【夜に咲く花】-1
親父は出張で今夜は帰らない。お袋は友人宅へ遊びに行った。多分、今夜は帰らないだろう。
つか、玄関にはチェーンを掛けた、台所の勝手口も内側からきちんと施錠した。一階の全ての窓と戸にも鍵を掛け、ブラインドを降ろした。
これで、誰かが突然やって来て、いきなり家の中に入ってくるというシュチエーションは無くなった。
そうして――
俺は、安心して愛花を抱き寄せると、キスをした。
深く、熱く、長く。まんべんなく愛花の口の中をまさぐるように舐め回し、愛花の可愛い舌に、俺の舌を絡ませる。
普段のこの時間であれば、点けっぱなしのテレビがくだらねー番組を垂れ流しているであろう居間の中も、今は、しんと静まりかえっていて、深く重なり合った俺達の唇から漏れる、淫猥に濡れた音が聞こえるだけだ。
「今夜は、二人っきりだな、愛花」
たっぷりと息が続かなくなるほど愛撫しまくってから唇を離すと、熱い息を吐く愛花に、そっと囁いてやる。
けど、愛花はその言葉に、怯えたような泣き出しそうな顔をして、俺の視線から目をそらした。
「怖いか?」
囁く俺に、愛花は、こくんと微かに頷く。
そうか。
けど、俺に抱き竦められた愛花の体は、既に仄かに上気して赤く火照っている。
体は正直だ。
今夜は、この可愛い俺の妹をどうしてやろうか?
いつもは階下にいる親に隠れ、こっそりと愛花の部屋に忍び込み、声を立てないように物音を立てないようにと、気にしながらヤっているんだが、今夜はその心配がない。
「今夜は、好きなだけ、いやらしい声を上げていいぞ、愛花」
思わず声が弾んでしまうのが分かる。両親がいない夜なんて久しぶりだ。愛花と朝まで二人っきりだなんて、たまんねぇぜ。お袋が出て行くまでの長かったこと。晩飯の支度なんてしなくていいっつーの。
抱き竦めた愛花の体をまさぐる俺に、愛花はその身を固くしながら、「そんなこと、しないもん」と言った。
むっとしたその顔に、思わずにやにや笑ってしまう。
「どの口が言ってるんだ、ん?」
乱れれば乱れる程、良い声で鳴くくせに。愛花の声、普段から十分に可愛い声が、熱気を帯びて、何度も何度も俺を呼ぶくせに。
「良い声、聞かせろよ、愛花。ケチだな」
「あっ……」
白いTシャツの上から柔らかく膨らんだ胸を掴むと、愛花は小さな声で呻いた。掌の中にすっぽりと収まった膨らみから、トクトクと震えるような鼓動が伝わってくる。
俺は微かに微笑むと、愛花の首筋に唇を這わせながら、ゆっくりと円を描くように揉みしだいた。
「いやっ……あっ、お兄ちゃん……あっ……」
舌の根も乾かぬうちに、愛花は熱い吐息を漏らしだした。
可愛い。
「なんだよ、もう乳首勃ってきたか、愛花?」
ブラジャーでガードされた上から、膨らみの真ん中をグリグリと弄ってやると、愛花は身を捩らせて「そんなことないもんっ!」と言った。
「そうか?」
俺の腕の中から逃れようと藻掻く愛花を解き放つ。
「なら、見せてみろよ」
にやり。
思わず笑っちまう。
「……お兄ちゃん?」
俺は、愛花をそこに立たせたまま、その姿がより良く見えるように移動した。
今日の愛花は半袖のTシャツに膝上のひらひらしたスカートという恰好だ。俺は、そのTシャツを、胸の上まで捲り上げるように命令した。
自分で服を持ち上げて、俺に胸を見せるようにと。
「やだ!そんなの恥ずかしいよ」
案の定、愛花は、思いっきり拒絶する。
「いいから、やれよ」
けど、呟くように、冷たい口調で言いつける。その応酬を何度か繰り返すと、冷めた目で見つめ続ける俺に観念したのか、愛花の手が、そろそろとTシャツの裾に伸びた。ゆっくりと、恥ずかしそうに、屈辱的に泣きそうな顔をしてシャツを持ち上げる。
ゆっくりとゆっくりと上がって行く服の下から、愛花のきめの細かい白い肌が見えた。
そして、爽やかなパステルグリーンのブラが現れる。
「こんなの、嫌……、お兄ちゃん……」
完全にブラジャーをさらけ出した位置で手を止めると、愛花は俺の視線から目を反らして泣き声を上げた。
ブラはハーフカップとか言う奴で、触り心地の良さそうな膨らみが、微かに震えながら可愛く乗っかっている。ゆっくりと上下するそれを見ているだけで、愛花の緊張が伝わってくるようだ。
「もういいでしょ」
見つめる俺に、愛花は目を反らしたままでシャツを下ろそうとした。
「まだだよ。何言ってんだ、お前。誰がブラが見たいって言ったよ」
俺は更に、ブラを外さずに、そのまま胸の上へと持ち上げて、その下に隠れている膨らみを見せるように言った。
「変態!」
愛花は、俺の言葉を聞いた途端、ズバリと真実を言い抜いた。
あまりにその通りなので、返答のしようが無い言葉だ。
けど、ふん。と、軽く鼻先で笑い飛ばしてやる。