探偵、依頼受付中 【遺言】-4
「……」
命はなぜか意味深なタメをとった。
「先生、ためないでください。気になります」
「まあそういわずに。で、14というのは実は麻雀のあがり形を意味する」
「は?」
麻雀をやったことのない望にとってはわけのわからないことのようだ。
「麻雀は3つの牌の組み合わせを4組と、頭と呼ばれる同じ種類の牌2つの組み合わせを1組であがれるんだ。で合計すると14牌」
望は頷きながら命の説明を黙って聞いている。
「対局を紙に記す時に数字で表す牌、それをソウズというがそのなかで緑色のみの牌は2,3,4,6,8だ。その牌を使いポイント、つまり点数を最も高くするには緑一色、四暗刻」
命はどこからか麻雀牌を取り出し望に見せる。確かに命がいう牌は緑色のみである。
「緑一色はその名の通り緑色の牌だけで作る役。四暗刻は暗刻と呼ばれる同じ牌を3つ集める組合わせを四つ集める役だ。そして頭は8なら……」
そう言いながらソウズの2を3つ集め、これが暗刻だと示す。
「その条件を満たす14桁の暗号の答えは『22233344466688』しか考えられない。普通麻雀は数字の小さいほうを左から並べるからな」
命は牌を組み合わせてその形を作った。
「なるほど、たしかに真面目一辺倒では解けない暗号ですね」
「人生で無駄なことなど何一つ無い。その気になれば全てが何かの役に立つのさ」
と、胸を張り言う命であった。
「どうせ今の台詞もノートに書き込むんですよね?」
「お、よくわかったな望君。ははははっ!」
その時事務所に命の笑い声と共に、鳩の鳴き声が11回鳴り響いた……。
end