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梅雨色の浄化
【ガールズ 恋愛小説】

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梅雨色の浄化-1

雨が降っている。
もちろん雨が降っている事がおかしいと言うわけでもない。
むしろ、梅雨前線が私の真上を漂っている今は雨が降るのは自然で、今降らないと困る人も居るだろう。
…ただ、私は雨を見ると気持ちが高ぶり、落ち着かなくなってしまうのだ。

私は小さな頃から濡れるのが大好きで、傘を持っているのにわざと雨で濡れて帰った事が有った。
休日は雨になったら喜んで外に出て近くに有る公園のベンチに腰をおろし時を過ごす、私はそんな子供だった。


 今日は休日、幸い雨が降ったため私はいつもの公園に行く…傘はもちろん差さない。
たまに好奇の視線を感じる事も有るがいつもの事なので気にはしない。

公園のベンチに座ると私は目を閉じて雨の音に耳を澄ました。濡れる身体を感じながら雨の水が私の心を洗い流し浄化していく。
私の中に有る嫌な事や苦しい事も、雨が流してくれるように思えた。

…ふと、雨が止んだ。
目を開けると見た感じ私より3歳程年上の女の人が私を傘に入れるようにして立っていた。

「どうしたの?」

しかも心配されているようで、どうしたら良いか考えていると私の顔を覗きこむように女の人がしゃがんだ。
近くの高校の制服を着ていて髪は長い、興味深そうに私を見つめる垂れ目気味の瞳に私の姿が写っていた。

「雨が…濡れるのが好きなだけ。」

私がそう言うと女の人は急に傘を畳み始める、もちろん雨は止んでいないので濡れてしまうのだが女の人は全く気にしないそぶりだ。

「隣、良い?」

私が無言で居ると、肯定と判断したのか濡れるのも構わず隣に座り微笑みかけてきた。
その微笑みを見てしまった私は急に恥ずかしくなって顔を背ける。

「濡れますよ。」
「それはお互い様でしょ?」

どうやら見た目によらず強引な人らしい。


 それから女の人…紗香さんは特に何をするでもなく私の隣に座っていた。
私はそんな紗香さんの事が気になって、いつの間にか色々な事を話した。
それは好きな食べ物の話だったり、学校での話だったり…
紗香さんはどんな話でも微笑みを浮かべながら聴いてくれる。
私はその笑顔に惹かれ、見るたびに心が躍り落ち着かなくなってしまう。
今までこんな気持ちになった事が無かったので、私には今私に渦巻いている感情が理解出来なかった。


「結構時間が経ったね…。」

紗香さんに指摘され、気が付くともう日は傾き始め公園の時計の針は5時を指していた。
雨も少しづつではあるが勢いが弱まっている気がする。

紗香さんが立ち上がり、大きく体を伸ばした。私は時計の針を眺めながら早い時間の流れを呪う。


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