秘めた極楽-1
1.
由貴が夫の異変に気がついたのは、中国語留学で北京に3ヶ月滞在して戻った時だった。
普段は英語の通訳をしているが、最近は中国との商談や交流が多くなり、先行きを考えてテレビやCDを使って中国語の勉強をしていた。独学では自信が持てないので、思い切って北京の大学の集中講座に参加をしたのだ。
久しぶりに夫の熱い抱擁を期待してベッドインしたのに、紀夫は一向に手を出してこない。たまりかねた由貴が夫の肩に手をかけた。
「ねぇえ、あなたぁ」
「今日は疲れてるんだ」
夫は、くるりと背を向けてしまった。
登った梯子を外された格好の由貴は、疼く身体を抱きしめて途方に暮れた。北京の土産に買った絹製の真っ赤なパンティ身に付けて、普段はあまり積極的ではない夫の気分を高めようとの企みは、見事に外されてしまった。
左手で乳房を握り締め、右手の指先は股間に伸びた。オナニーは高校生のときに覚えた。すっかりその積りで、性感帯は準備を整え燃えている。
溢れる愛液で指先を濡らし、クリトリスを弄った。親指と人指し指で肉片をモミモミすると、充血した肉片の先端がプックリと膨らんで固くなった。
肉片の裏に指を回しすと、ヌルリと滑った指は穴の縁に当たった。クルっと縁の沿って回すと、ムズムズと湧きあがる快感が臍を通って身体中に広がった。
「フムむっ」
震える指先が、穴に滑り込んだ。爪で粘膜を傷つけないように、指の腹で膣壁に沿って抜き差しする。
「うぅつっ」
急激に高まる快感に、足を突っ張って膣を締める。
布団の縁を噛み締めて、喉から漏れ出るヨガリ声をかみ殺した。