秘めた極楽-2
2.
夫との性生活は、淡白だった。お互いに忙しいこともあって、結婚当初から多くて週一回、時によると1ケ月ご無沙汰することも、珍しくなかった。
それでも1男に恵まれて既に大学生、経済的にも二人の収入は恵まれたものだった。
次の夜も同じことが続いた。
「ねえ、どうしたの?そろそろバイアグラが必要になった?」
「そんなんじゃないんだ、実は・・・・」
夫の告白によると、会計事務所の助手をしている梨花と関係が出来て、結婚をしたい、ついては離婚をしてくれないかと言うのだ。
晴天の霹靂とはまさにこのことか?夢にも思わなかった夫婦の破綻が、突然、現実のものとなって、目前に立ちはだかった。
根が真面目で、浮気などは全く関係の無い男と思っていた夫の告白に、由貴はまず相手の梨花を疑った。
(純情無知といっていいほどの夫を、色仕掛けで誘惑したに違いない。ほどほどの手切れ金を払えば、手を引くだろう)
梨花のアパートを訪ねた。
「私たちは真剣に愛し合っています。それに私のお腹に、紀夫さんの赤ちゃんがいます。別かれる積りはありません。貴女の方こそ別れてください。」
まさか妊娠していることまでは聞いていなかった。頭が真っ白になった。反論する気力も、言葉も見つからない。
どこをどう通ったのか?気がつくと家の居間のソファにへたり込んでいた。