ミスから始まる地獄-4
それからトイレに行くたびに、システム会社の社員の誰かか付いてくるようになった。ときには一人ではなく何人もの社員が付いてくることもあった。
そして、その男達の前でオシッコをしなくてはならず、その様は録画され続けた。
オシッコをするたびに黄色くなっていくクロッチを見られることも、莉子の羞恥心をあおる一因だった。
そうこうしている内に、気づけば日付は変わっていた。
どんな時であっても一人になれないというストレスが、莉子だけでなく、派遣社員全員を大きく疲弊させていた。
それでも、トイレには行きたくなる。これは生理現象だから仕方がない。
莉子は、またもやトイレに行きたくなる。これで朝から数えて五度目だ。これでも我慢した方だと思う。
やってくる恥辱の時間を思うと暗鬱な気分になる。席を立ち、トイレに行こうとした莉子だったが、今回はそれが許されなかった。
「あ、浅野さん、ちょっと来ていただいてもよろしいでしょうか。」
リーダーだった。丁寧な口調で聞いてくるが、それは有無を言わせないものだった。
連れてこられたのは、いつも打ち合わせで使う会議室だった。
リーダーがドアを開けて、中に入るように促す。莉子は不信に思いながらも、そのドアをくぐる。
莉子が入ったのを確認すると、リーダーも一緒に中に入り、そして後手にドアを閉める。
「申し訳ありません、忙しいところ。作業はどんな感じですか?」
単なる進捗状況の確認のために?なぜ会議室なのか?
不思議には思ったが、考えても仕方のないことだ。
「お願いされた不具合改修は終わってます。これからその単体テストに着手する予定でいます。」
それを聞いたリーダーは笑顔を浮かべる。
「そうですか、それなら他の方に引き継いでいただいても問題ありませんね。」
しかし、リーダーの浮かべたその笑顔に、莉子はいつもより下卑たるものを感じる。
「あ、あの……行ってもいいですか?」
なんとなく嫌な予感がするため、莉子はここから出ようとするが、しかしリーダーはそれを許さない。
「前から思ってましたが、浅野さんの胸は大きいですね。」
「……え?」
「いえね、今日は浅野さんの恥ずかしいところを何度も見たじゃないですか。」
「な、なに、言ってるんですか……。」
リーダーの視線が莉子の体を舐め回す。顔をから胸へ、胸から太もも、そして太ももから股間へ。
「その上、最近はずっと持て余してるものがあるんですけど、そうしたらそれが随分と刺激されまして。」
今度ははっきりと身の危険を感じる。莉子はリーダーの視線からおぞましいものを感じると、自分の手で体を隠すようにして抱きしめ、身を縮ませる。
そんな莉子にリーダーが、ゆっくりと歩み寄る。
「い、いや……こ、来ないで……。」
「浅野さん。朝も言いましたが、あなたの態度次第では、大変なことになりますよ?」
その言葉に莉子の体がビクッと震える。
「いいですね、浅野さん。まずは、気をつけ、しましょうか。」
莉子はその言葉に従うしかないのだ。
体を抱きしめる両手をほどき、太ももの横に指を真っ直ぐ伸ばし、ピンと背筋を伸ばして立つ。しかし、その視線はずっと床に向いている。
そんな莉子を見て、リーダーは満足げに頷く。
そして、ゆっくりと莉子の肢体へと手を伸ばしていく。