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リカちゃん
【ホラー その他小説】

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1-2

2.

 PRRRR……PRRRR……PRRRR……
(え〜? 非通知?……こんなに遅い時間にいったい誰?)

「もしもし、わたしリカちゃん、いま、おもちゃやさんにいるの」

 甲高くて素っ頓狂な声。
(ダイレクトメールみたいなものかしら……)
 もやもやした気持ちで電話を切った。

 PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……
(また?)
 やはり鳴り止まないので通話ボタンを。

「もしもし、わたしリカちゃん、いま、おもちゃやさんから出たわ」

(もう! 迷惑ね!……)
 不機嫌に電話を切った。

 PRRRR……。
(しつこいわね!)
 今度は一回で電話に出たが、やはり……。

「もしもし、わたしリカちゃん、いま、かどをまがったところよ」

「あのね! 誰だか知らないけど、宣伝なら悪質よ、余りしつこいと消費者センターに……」

 しかし『リカちゃん』は構わず話し続ける。

「もしもし、わたしリカちゃん、いま、あなたのマンションのちかくよ」

「あのね、そんなわけないでしょ? いい加減にしないと怒るわよ!」
 怒鳴りつけて電話を切ったものの、気味が悪いことこの上ない……。

 PRRRR……
 (うわっ) 
 また鳴り出すのでは? と身構えている時に鳴り出すと余計にびっくりしてスマホに手が伸ばせない。

PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……いつまでも鳴り続ける。

 呼び出し音が止まった時は心底ほっとした……が。

 PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……PRRRR……
 すぐにまた鳴り出した、出なければこの恐怖が繰り返されるだけ……おそるおそる手を伸ばして通話ボタンを押す。

「もしもし、わたしリカちゃん、いま、あなたのおへやのげんかんよ」

 その時、カチャリと鍵の音、続けて少し建てつけが悪い玄関ドアのギギィという音が……。

 スマホを持つ手が小刻みに揺れる。

「もしもし、わたしリカちゃん、いま、あなたのうしろにいるの」

 振り返りたくない……振り返ってもしそこに……でも、そのまま後ろから襲われるかも知れない……それよりは……。

 彼女は果物ナイフを掴み、振り返りざまに『リカちゃん』にふりかざした……しかし……そこには誰もいない……。

「もう……一体何なのよ……悪質な悪戯?……」

「いたずらなんかじゃないわ」

 振り返ると巨大なリカちゃんの顔が……。


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