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『BLUE 青の季節』
【青春 恋愛小説】

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『BLUE 青の季節』-7

「じゃあやっぱり中止にしようぜ。この人数じゃ話にならねぇよ」

「そうは言っても、もう予約はとってあるんだ。今更やめはないよ」

タケルが困ったように言うと、時刻表の所にいた宮前が戻ってきて

「どうします?バス出ちゃいますよ」

と言った。

「じゃ、俺帰るわ」

信が引き返そうとすると、後ろから美津子が肩を掴んでずるずるとバスのなかに引っ張っていった。

「オ、オイ!?なにすんだよ」

「荷物持ちがいないと話にならないでしょ。いいから乗りなさいよ」

信が無理矢理振りほどこうとしたがびくともしない。なんて力してんだ、この女。バスの運転手が怪訝な顔で「閉めるよ」と言っているのが聞こえると、信はもう観念するしかなかった。


目的の合宿地は太平洋に面した海辺の近くにある旅館だった。旅館とは言っても、年季の入った古い旧館で端から見れば幽霊屋敷に間違えられてもおかしくなかった。
もともとは宮前の親戚が経営してる旅館ということだったが、あまりにも客が来ないため仕方なく夏の間だけ格安で部屋を提供しているという。
それを利用しない手はない、と満場一致で決まったわけだが・・・・・・。いざ、実物を見てみるとあまりのボロさに開いた口がふさがらなかった。

部屋に入ると微かに畳みの臭いがした。信が窓を開けたその先には、真っ青な海が広がっている。
部屋は汚いが、どうやら景色だけは良さそうだ。

「どうだ、いい眺めだろ」

同室のタケルが荷物を持って入ってきた。

「余った部屋はどうした?」

部員の数は全部で12人いた。だが、今日ここに来たのは顧問の木本を含めてもたった五人しかいない。

「そりゃ空き部屋になってるよ」

「いいのか?キャンセルしなくて」

「別にいいさ、他に客もいないし。それより早く着替えて練習しようぜ。」

タケルは上着を脱いでから急かすように言った。

「練習ってまさか海でやるんじゃないだろうな?」

「バカ。遊びにきたんじゃないんだぞ。近くにプールを借りてあるから、そこでたっぷり泳ぐんだよ。どうだ、楽しみだろ?」

タケルはふりむいて嬉しそうに言った。

「俺は遊びにきたんだけどなぁ・・・・・・」


     ※


その夜、信達四人は地元で開かれた花火大会に出掛けた。昼間の練習で疲れていた信だが、部活以外のイベントなら参加してもいいかな、と思い行くことにしたのだ。

「信、大丈夫か?おまえ顔色が悪いぞ」

タケルが門の前で屈んでいた信に声をかけた。

「そうか・・・・・・?」

「今日は結構、距離泳いだからな。疲れてるだろ?体調悪いんだったら無理してこなくていいんだぜ」

「嫌だね」

と信は言った。


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