憎しみと殺意に隠された愛情-1
孤独...。一人ぼっちという言葉。オレにピッタリの言葉だな。
6歳の時、母親に捨てられた。オレを見たこともない街の人気のない小さな路地に連れて来て。
「待っててね。」
と笑顔で言ったあと二度とオレの前に姿を現すことはなかった。
夜を一人で眠るのはあまりにも孤独だ。初めて路地で眠った時は、涙がとまらなかった。
寂しかった。
当時6歳のオレには.....つらすぎた。
最初は...寂しいだけだったんだ。
でも、毎日のように見るオレと同じ年頃の子どもは親と楽しそうに買い物をしている。
それを見るたびに、オレの親への憎しみと殺意がオレの心を支配していった。
「殺してやりたい。」
「オレが今まで味わった劣等感、絶望感を死で償え。」
そう思った。
毎日、民間人に白い目で見られる。
裕福な生活をしているこいつらにとって、路地が寝床のオレはゴミ同然なのだろう。
奴らの冷たい視線は、容赦なくオレに向けられ、時には笑い声さえ聞こえる。
「殺してやりたい。」
「オレに冷たい視線を使った奴、オレを笑った奴、みな殺しにしてやりたい。」
そんな憎しみと殺意に満ちた毎日が繰り返された。
さて夜もふけた、食堂の残飯を食べ終えたオレはいつものように孤独な眠りにつこうとしていた。
その時、黒いコートを着た若い男が声をかけてきた。
「いい眼をしてるな。」
オレは無視した。だがいつもの奴らの冷たい視線ではない...。むしろ、オレを認めている視線だ。男はさらに続けた。
「オレと一緒に来ないか?」
その言葉にオレは眼を丸くし、迷わず頷いた。オレの心は変わらなくても、この貧しい生活を変えられる。
男はオレを食堂に連れて来て、ありったけの食べ物を食べさせてくれた。何年ぶりだろうこんな幸せな時間は、周りの奴らも冷たい視線を使って来ない。
だがオレの憎しみと殺意は今も心の中を支配している。
男が口を開く。
「殺しを教えてやるよ。」
驚いた、男は一見してオレの心を見破っていたのだ。
それから、オレを捨てた親、見下した奴らへの復習のための訓練が始まった。
男が言うにはオレには殺しの素質があるらしい。殺しの素質とはなんなのかわからずただ出される訓練課題をなんなくこなした。
訓練が終わった。3年間、奴から殺しを教わった。笑いが止まらない、自分が強すぎる...。周りの奴ら、今すぐに殺せる力がオレにはある。