憎しみと殺意に隠された愛情-2
「ククク」
不気味な笑顔を浮かべながらオレは元母のところへ向かった。
最初に殺すのは、こいつと決めていた。
夜道、男の情報によると、奴はここを通るらしい。
「誰かきた!」
見た瞬間にわかった。あの顔、忘れてたことなどなかった。
オレの憎しみと殺意は極限にたっした。
素早く背後に回り込み、左手のナイフで背中の肉を貫通させ、心臓を突き破った。
「キャー」
奴は悲鳴をあげながら倒れ、血が夜道を赤く染める。
オレの復習は終わった。だが心はなにも満たされなかった。
憎しみと殺意は消えた。
だが何か不思議な気持ちだ。
泣いている?オレの眼に涙が溜まっていることに気付いた。
何だこの気持ちは?
いつもの涙ではない。孤独感からくる涙ではない。この気持ちは...一体?
オレは呆然と立ち尽くし、今気付いた、本当は母と暮らしたかった。憎しみと殺意で多い隠された愛情に気付くことはできなかった。
後悔...自分の行動を悔いた。
今、願いが叶うならばどうか母を蘇らせて...。
オレの願いは、静かなる夜の闇に儚く消えた。
オレは哀しみに打ちのめされ、自分の心臓をナイフで貫いた。そして静かに言った。
「やっと...母の元へ。」