Requiem〜後編〜-2
(・・・・・ああ)
窓越しに見える大海原に向かって、
心赴くままに歌い終えた後、
セリスの中でようやく昨晩のことが現実として甦ってきた。
ナイトガウンの下で身体のあちこちに残る昨晩の愛撫の名残が、
セリスに昨晩の出来事が夢ではなかったことを再確認させる。
(ついに・・・・セッツァーと)
乱れた金髪を掻き分けながらセリスの心はざわつく。
薄々予感していたこととはいえ、よりによって、まさかかつての仲間と関係してしまうとは──────
(顔を合わせたら、どんな顔をすればいいの・・・・)
今まで夫以外の男達と関係を結んできたこと以上の背徳感と心のざわめき。
その一方で、
セリス自身の身体がセッツァーの愛技に反応し、自分から相手を激しく求めていたことも紛れもない事実だった。
(さっきの歌を歌いたくなったのも、セッツァーとの始まりの歌だったから、かな・・・・・)
だが正直なところ、戸惑いはあるが後悔はない。
それが今のセリスの偽らざる心境だった。
(・・・・・・・)
様々な想いが脳裏に浮かんでは消えていく。
一度身体を重ねてしまった以上、次にセッツァーがセリスを求めてきたら、
拒むことすらできず、以前よりも自然な形で彼を受け入れてしまうのではないか───────