8-2
「へえ……あのりょうがねぇ」
「なんだかんだ言っても好きなんだよ、翔君のこと」
「そう言われてもなぁ……僕はねねちゃんが好きだし」
正常位から体を起しての対面座位で二人とも果てたばかり、まだ繋がったまま話しているのだ。
「あいつ、気が強くて自己中だろ? 付き合ってて辛いんだよね、ねねちゃんの方が優しくて癒されるよ」
「エッチさせてあげるしね」
「こら……ねねちゃんだって楽しんでるくせに」
「えへへ」
「考えてみればりょうとは手コキしてもらいたいから我慢して付き合ってた様な気がするな」
「そうなの?」
「手コキだけと言ってもさ、女の子に抜いてもらうのを憶えたらオナニーは味気ないんだよ」
「そうだろうね、あたしだって自分で触るより翔君やよっちゃんに触ってもらう方がずっといいもん……触られるだけじゃ満足できなくなっちゃったけど」
「僕も……それどころかアナルまでしなくちゃ満足できなくなっちゃった」
「する?」
「うん……ねねちゃんがずっと腰を動かしてるからまだ萎んでないし、このまま続けてしたいな」
「うん、いいよ……今日は前向きのままがいいな」
「そうだね、そうしよう……」
「あ……あはっ……」
翔に軽く持ち上げられて前から後ろへと挿れ換えられ、直腸をみっちりと埋められる……。
「あは……あいいいい……ひぃぃぃぃぃ……」
翔が仰向けになり、ねねの両脚を掴んだまま腰を跳ね上げ始めるとアナルに全体重がかかり奥深くまで突き上げられる。
(お姉ちゃん……翔君になにもさせてあげなかったんだから……仕方ないよね……)
ねねはそこまでは考えたが、その先はもう頭が働かなくなってしまった……。
翔がねねの方がいい、と言ったのはおべっかでもなんでもなく、偽りのない本音だ。
りょうとよりを戻す気はさらさらない、ねねの体を知ってロリータにも目ざめてしまった翔にとって、りょうより五つも年下で気持ちが優しいねねがいれば、もう気が強くてわがままなりょうと付き合う理由は何もない。
ねねはいつでも体を許してくれ、しかもその小さな体は翔に極上の悦びを与えてくれる。
そして、ずっとみそっかす扱いされて来たねねは人の気持ちを良く理解でき、思いやることが出来るのだ。
確かにルックスは姉のりょうに及ばない、「ダサい」と仲間外れにされて来た冴えないルックス……しかしそれは半年前の話、顔立ちが変わったわけではないが、いつでも馬鹿にされないか、仲間外れにされないかビクビクしていた頃とは顔つきが変わって来ている、自分自身に自信がついてぐっと明るい感じになると、丸っこい輪郭も一重まぶたで少しとろんとした目も愛嬌たっぷりに見えて来る、そして官能に喘いでいる時、その目は焦点を失い、底知れない色香を醸す……その表情を知っている翔には普段のねねも格段に可愛らしく、ある意味色っぽくも見えるのだ。
夏に初めて抱いた時は少しぽっちゃり気味だった体つきも締まって来ていて、その分胸の膨らみも少し顕れ始めてより魅力的になって来ている。
もうりょうには翔とねねの間に割り込む隙はない。
「逝く、逝く、逝っちゃうよぉ……」
ねねのアナルの締め付けは強いが、間を空けない二本目の翔は簡単には果てない、ピストンは熱を帯び、ねねを半ば屈曲位にして突き下ろしている。
ねねの体はほとんどすっぽりと翔の腕の中、そして幼い顔を火照らせ、潤んだような目で翔を見上げている。
「最高だよ、ねねちゃん、最高だ……俺も逝くよ」
「一緒に、一緒に逝って」
「ああ、一緒に逝こう……ううううっ」
「あはあああああああああああああああ」
ねねは思い切り背中を反らして果て、その体から力が抜ける。
翔は抱えていた脚を放し、繋がったままねねの体を包み込むように抱く。
「また逝っちゃった……」
「ねねちゃんは感度高いよね」
「自分がこんなにエッチだって思ってなかった……淫乱だよね」
「淫乱なんて言葉知ってんの? でも、男にとっちゃ自分に対してならどれだけエッチでも嬉しいものだよ」
「そうなの?……でもよっちゃんにも同じだけど……」
「ああ、そうだね、でも向こうが先だったからなぁ……」
「どういうこと?」
「なんて言うのかな、向こうに優先権があるって言うか……」
「よっちゃんとはSFなんだけど」
「俺とは?」
「よくわかんない、翔君のほうが若いしかっこいいけど」
「好きって感覚じゃない?」
「二人とも好き、でも、そうだな、翔君の方がちょっと好きかな」
「そう、嬉しいよ」
「ホント?」
「『ずっと好き』ならもっと嬉しかったけどさ、でも、正直な気持ちを聞けて良かったよ」
「ごめんね」
「え? どうして?」
「翔君の方がずっと好きってわけじゃなくて……でも、よっちゃんも凄く優しいし、いつもどうしたらあたしがもっと感じるか考えてくれるし……」
「うん、俺も色々勉強するよ……そろそろ抜くね」
「うん……あはっ」
アナルからまだ固さの残るペニスを引き抜く時、ねねはいつも体をビクッとさせて声を漏らす……その声を聞き、少し眉を寄せた表情を目の当たりにするといとおしさがこみ上げて来る。
(いつか俺だけのものにしたいな……)
腕の中にすっぽりと納まる、小さくてすべすべな体を抱きしめながら、翔は思った。